NHKも民放も個別の番組制作費は明かしていない。紅白の制作費もまた公表されていないが、音楽記者の間では「約1億円以上」と言われている。 　この金額の信憑性を推し量ることは出来る。公共放送のNHKは情報公開の一環として「収支予算と事業計画」なるものを公表しており、それを見ると各ジャンルのレギュラー番組にどれくらい予算を投じているのかが分かるからだ。 　エンターテイメント・音楽番組の制作費は1番組220万円から3540万円。最高額の3540万円は看板音楽番組『うたコン』(火曜午後7時57分)というのが定説だ。この番組は45分で7～10組程度の歌手が登場している。 　一方、紅白の放送時間は午後7時半から同11時45分(ニュースで中断あり、同9時から2部)なので、計4時間15分。出場歌手は計44組。どちらも『うたコン』の5倍前後だ。 　2つの番組を比べると、紅白の制作費が1億円強と言われているのもうなずける。国民的音楽番組らしい金額だ。 ＜文／高堀冬彦＞
放送コラムニスト／ジャーナリスト　1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「ＧＡＬＡＣ」前編集委員