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エナジードリンクの大容量化が止まらない。“瞬発力”からシフトするニーズって

ネットカルチャーと親和性を持たせたプロモーション

 奇しくもコロナ禍の真っ只中に発売されたZONeだが、どのように認知度を高めていったのだろうか。  一貫して訴求軸に置いていたのは、“eカルチャー”と呼ばれる音楽、ゲーム・e-sports、アニメなどの各分野で活躍するクリエイターやアーティスト、プレイヤー、オーディエンス(ファン)を巻き込んでいくことだった。
Creepy Nuts

Creepy Nuts出演広告のキービジュアル

 音楽カテゴリでは、ネットから大ブレイクしたYOASOBIやVTuberのパイオニア・Kizuna AI(キズナアイ)、国内外で活躍しアニメカルチャーとの親和性も高いLiSA、圧倒的な人気を誇るHIP HOPユニット・Creepy Nutsをはじめ、さまざまなアーティストとコラボしたプロモーションを行った。  そのほかe-sportsチームの選手やゲーム配信者のサポート、アニメ・マンガの人気タイトルとのコラボや大学のオンライン学祭の支援など、多方面でのコラボレーション、サポート活動を通じて、カスタマーとの繋がりを構築してきたそうだ。  さらに、他のエナジードリンクとは一線を画しているのが、ZONeのオリジナルキャラクター「ぞん子」の存在だ。
ぞん子

ZONeの公式アンバサダーを務める「ぞん子」。人気イラストレーターのLAM氏によって描かれた

 TwitterやYouTubeなどのSNS上で、ZONeの魅力を伝えるのが主な活動だが、若者世代に支持されるビジュアルや衣装、SNSでのコミュニケーションが、ブランドのファンを醸成するのに貢献している。  かくして、ZONeは発売間もないエナジードリンクにも関わらず、順調に販路を拡大させ、成長路線をたどっているわけである。

炭酸飲料に慣れ親しんだ若者の心を掴む

 ここで、エナジードリンクの変遷について紐解いてみる。  かつて、エナジードリンクが流行る前は「オロナミンC」(大塚製薬)、「リポビタンD」(大正製薬)、「リアルゴールド」(日本コカ・コーラ)のような栄養ドリンクが主流だった。  それが、2005年のレッドブル日本上陸を皮切りに、エナジードリンクという新しいカテゴリーが普及していくことになる。  特に「レッドブル、翼を授ける」という鮮烈なキャッチコピーをテレビCMで放映したことで、レッドブルの爆発的な人気を生み出すきっかけになった。  だが、2012年に発売されたモンスターエナジーは、ジュースタイプのフレーバーを多く出したことで、これまでエナジードリンクを手にとってこなかった層にも間口を広げることに成功した。  さらには300ml以上の容量にすることで、炭酸飲料を飲む習慣がある若者にとっても飲みやすくなり、「ここぞという瞬間に飲む」以外に「趣味や遊びを楽しむときに飲む」という飲用シーンにも広がっていた。  その後も、各メーカーがフレーバーやコンセプトを工夫しながら、ポテンシャルを秘めるエナジードリンク市場で活路を見出すために、さまざまな商品を開発しているような状況になっている。 「以前はコンビニがエナジードリンクの主な販路でした。それが今ではスーパーやドラッグストア、自動販売機にも広がっています。若者向けに発売されたエナジードリンクも、今では幅広い層に受け入れられています」(ZONe担当者)
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エナジードリンクを年間に飲む「本数」も「量」も増えている
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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