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ロシアのウクライナ軍事侵攻を歴史から考える「暴君はひとりでに生まれるのではない」

今こそ見るべき独裁者誕生の歴史

『暴君になる方法』

『暴君になる方法』 他にもフセインの徹底的に敵を排除し、権力を維持する方法や、ウガンダのアミン大統領が国民に対して行った恐怖による統治、スターリンによる情報操作および真実の隠蔽・歴史の改ざん、北朝鮮における金一族の権力維持の秘訣などを紹介。果たしてプーチンは彼らと同じ道をたどるのだろうか……

 2月24日、突然、始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻。ロシアの最高権力者であるプーチン大統領の命令の下、軍による激しい攻撃が連日繰り返されている。それと同時に停戦に向けて話し合いの場が何度も持たれているが、その間にも市民の犠牲は増え、街は破壊される一方だ。現時点(3月23日)でこの先どうなっていくかは、まったくわからない。  すべてはプーチン次第――。Netflixで配信中の『暴君になる方法』は、そんな今こそ見ておくべき歴史ドキュメンタリーシリーズである。  本作ではヒトラー、フセイン、スターリン、カッザーフィー、金日成ら、歴史に登場してきたさまざまな暴君たちがどのように地位を獲得し、権力を拡大していったのか、そのプロセスとテクニックを解き明かしていく。「身代わりを選べ」「忠誠を買え」「自分を信じろ」「怒りを売り込め」「攻撃の時機を見極めよ」などのメソッドを紹介し、それらを忠実に実行すれば誰でも暴君になれるという痛烈な皮肉とともに観る人に警鐘を鳴らしている。

暴君はひとりでに生まれるのではない

 たとえどんなに強い信念、堅固な理由があろうとも、暴力で人を抑えつけ、生活を破壊し、生命や自由を脅かしても構わない道理など、この世には存在しない。しかし、暴君はまるで手品のようにある日突然、私たちの目の前に現れるわけではない。暴走する危険をはらんだ暴力性が私たちの中にも少なからずないだろうか。心のどこかに支配を望んでいる自分はいないだろうか。いま一度、自身の胸に深く問いかけ、考え続ける必要がある。  脅威にさらされた人間が求めるのは強力なリーダーシップである。暴君はひとりでに生まれるのではない。私たちによってつくり出されてしまうのだ。
『暴君になる方法』

Netflixドキュメンタリーシリーズ『暴君になる方法』独占配信中

<取材・文/中村裕一> ※週刊SPA!3月29日発売号より
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
週刊SPA!4/5号(3/29発売)

表紙の人/ 江籠裕奈

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