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BIGBOSSは理想の上司なのか。ザ・ノンフィクションにみる「厳しい指導」の必要性

BIGBOSSは理想の上司?

 とは言え、ハラスメントの線引きは非常に曖昧であり、“パワハラにならない指導”は難しい。そこで平田氏は今話題の指導者をロールモデルとして挙げる。 「BIGBOSS(新庄監督)は、恐ろしいくらい部下と距離を詰めたコミュニケーションをしています。例えば、清宮幸太郎選手に『デブじゃね? ちょっと痩せない?』とセクハラ・パワハラと言われかねない発言をしましたが、そうはなっていません。  清宮選手の悩みに寄り添い、『とりあえずやってみようよ』と道を示しています。目線が上司目線ではなく、しっかりと部下の目線に合わせなければならない。部下目線で親身に伝えれば、指導する側とされる側の認識のズレは少なくなります」

上司が察することが大切

 目線を合わせることは必要ではあるが、2022 年度からは中小企業でも“パワハラ防止法”が適用され、今まで以上に恐る恐る部下を指導している上司も少なくない。パワハラ防止法を踏まえ、今後どのような点を意識して指導するべきなのか。 「まずパワハラ防止法において、『職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの』がパワハラに定義されています。必ずしも『厳しい指導=パワハラ』ではなく、その辺は留意しておくべきです。  そして、パワハラと思われないためには、とにかく部下の意見や考えを上司が引き出すことが重要です。部下が指導をパワハラと受け取ってしまうのは、指導の意図が共有されていないからです。昭和スタイルの指導方法では、“上司の考えを察するのは部下の役目”と捉えられています。一方、令和スタイルでは、上司が部下の考えを察したうえで、指導の意図を共有する必要があります」
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嫌われ役上司の存在価値とは
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フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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