仕事

BIGBOSSは理想の上司なのか。ザ・ノンフィクションにみる「厳しい指導」の必要性

嫌われ役が活躍する条件

 また、七久保さんのように、あえて口うるさい指導をする“嫌われ役”の必要性について聞くと、「“ある条件”を満たしているかどうかが、嫌われ役の上司の存在価値に大きく左右します」と回答。 「その“ある条件”とは、嫌われ役の上司の意図を解説する“もうひとりの存在”です。番組内では、七久保さんが新人時代からや努力してきた経緯を視聴者はわかりますが、新人3名には『なぜ厳しい指導をするのか?』がわからない可能性がある。ですので、『なぜあのような厳しい指摘をするのか』について解説・フォローする人が不可欠です。もしくは、部下がその意図を察する能力が高ければ、職場の嫌われ役は大きな役割を果たすでしょう」  一方、「これらの条件を満たしていないのであれば、嫌われ役はただただ職場の雰囲気を悪くするだけです」と語った。嫌われ役が機能するためには、よき理解者の存在もなくてはならないという。

雑談が大切

 また、厳しい指導ができない現状が今後も続くことに、「仕事には厳しい局面がたくさんあります。窮地に立った時になんとか切り抜けるために、時には指導を厳しくせざるを得ません」と危機感を募らせる。続けて、「厳しい指導が難しい雰囲気を放置することは、あらゆる困難への備えを放棄していることにほかなりません」と経営者に厳しい言葉をぶつけ、今職場がすべきアイデアを示す。 「自分に関心を示してくれない上司から、いきなり厳しい指導をされても『何もわかってくれない!』と部下は心を閉ざしてしまいます。日々の雑談を通じて、部下の興味や悩みに関心を持ち、聞き役に回ってはいかがでしょうか。他にも、『あの受け答えは良かったね』とか『大変だったね、お茶でも飲む?』といった、ちょっとした声掛けもとても大切です。いつも気にかけてくれる上司から『君ならもっとできたんじゃないか?』『こういうレベルを期待していて、きっとできると思う』と言われたら、それは期待すればこその厳しい指導と捉え、部下も『期待にこたえたい!』と思うでしょう」  ただ、コロナ禍ということもあり、職場の雑談は減っているが、「オンライン会議でも前後の15分など、日常会話を持つ機会を意識的に持つことで、厳しい指導が届く“布石”を打つことができます」とご時世に合わせたコミュニケーション方法を提案した。  気さくな上司になることが、パワハラリスクを減らす一番の特効薬なのかもしれない。 取材・文/望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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