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『シン・ウルトラマン』斎藤工が愛するSF映画『サンダ対ガイラ』や『ブロブ』の魅力

『シン・ウルトラマン』の「あえてアナログ」なスタイル

斎藤工_DMA-_TKM3951-Edit――ひるがえって、今回の『シン・ウルトラマン』の映像はどう見ましたか。たとえばウルトラマンや怪獣に関しては、従来の着ぐるみではなく、CGIで表現されています。 斎藤 これが意外と、特撮的な撮影の多い現場だったんですよ。変身シーンなんか、本当にアナログな光で表現していて、むしろここはVFXで処理しないんだ! という制作サイドの強い意思も感じました。特に要点となるシーンに関しては、できるだけ特撮の遺産をいただきつつ、それを補うためにデジタルを使用するというスタイル。 もちろん、海外のヒーローものでもデジタルとアナログの融合は試みられてると思うんですけど、よりアンティークなほうを主としてるっていうところが、それらと『シン・ウルトラマン』の異なる部分なのかなと。

iPhoneで撮影したシーンも

――技術の恩恵という意味では、iPhoneも含めて十数台のカメラが同時に稼働していたそうですね。 斎藤 実は『シン・ゴジラ』(’16)のときも、iPhone撮影が採用されてたんですよ。僕の出演シーンって、おそらく1分にも満たないと思うんですが、あの戦車の中に数台のスマートフォンが設置されていて、自分でRECボタンを押すという(笑)。で、意外とその映像が使われてたりするんですよ。 昔のカメラって、それこそチャップリンとか(アルフレッド・)ヒッチコックの時代には冷蔵庫ぐらいのサイズがあって、絶対に入れないアングルというものがあったんですね。もちろん、今だってカメラが入り込めない場所はいっぱいあって、でもスマートフォンなら入れる。で、入れるなら入ろうよっていうすごくシンプルな好奇心を持ったクリエイターチームだなと感じた憶えがあります。 今回も、そのどこか無邪気なトライは活きていて、テクノロジーの進化と作品が融合していたと思います。たとえば、僕と長澤まさみさんのお芝居で、お互いのことをiPhoneで撮ってたりするんですよ。普通の現場でもカメラの傍に演者さんが立ってくれて、こっちのお芝居に付き合ってくれることはありますし、やっぱり役者さんのところにカメラがあると、ものすごくお芝居しやすいんです。 まあ、スタッフさんの存在を意識から外して芝居するってのは、俳優の生業のひとつではあるんですけど、ちゃんと感情をぶつける対象がそこにいるというのはメチャクチャ理にかなってる。もっとも14台ぐらい同時に回ってる状況なので(笑)、役者さんの世代によっては、ちょっとやりづらさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。 ただ、どのカメラで撮られた映像が使われるか分からないがゆえに、カメラに向かってなにかをするっていう意識が崩壊していくというか、変な作為みたいなものがなくなっていく感覚があるんですよ。そこが、この撮影方法のよさなんじゃないかと思います。
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オーディションに落ち続けた若い頃
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