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『シン・ウルトラマン』斎藤工が愛するSF映画『サンダ対ガイラ』や『ブロブ』の魅力

オーディションに落ち続けた若い頃

斎藤工_DMA-_TKM3876-Edit――斎藤さんのフィルモグラフィを見ていくと、正統派な二枚目役からドーランを塗りたくったり、着ぐるみを着ての宇宙人役まであってメチャクチャ幅広いじゃないですか。『シン・ウルトラマン』って、こういうメジャータイトルとカルト作の境界線にある作品に思えて、非常に斎藤さんらしい作品だなと思ったりもしたんですが。 斎藤 うん、確かにそうかもしれないですね。ただ、自分としては意識的に作品を選んできたわけではなく、たまたまそういう経歴になったというような感覚なんです。若いときはこれに出て、次はあれに出てっていう繋がりで自分を深化させていくようなイメージも持ってたんですけど、かなり早い段階で立派な経歴を作ってやろうみたいな考えはなくなりました。 ――そのクールな視点を獲得したきっかけはあったんですか? 斎藤 若い頃は、ほぼ9割がたのオーディションに落ちながら過ごしてまして、そのときに俳優というものはニーズがあって初めて価値を生み出せるんだなと。つまりニーズがなくて価値が生まれてない状態を皮膚感覚で味わって、そもそも自分が思ってるほど、周りの人間は自分に対して興味を持ってないんだなということを思い知ったんですね。 まあ、オーディションに受からなかった空気みたいな時期を美談にしたいわけではないんですけど、でもそれを早々に知れたのは僕の強みだと思ってるんですよ。 だから、こうやってインタビューで来てくださる方には「これまで変わった役もやられてますよね」って言ってもらえるけど、多くの人がそう捉えてくれてるとカン違いしたら終わりだぞと自らを戒めて生きております(笑)。

点が線になる瞬間

――確かにそうですね。小さい女の子からは『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』(‘19)に出てたお父さんというイメージしかないかもしれないし……。 斎藤 そうです、そうです。あるいはインディードのおじさんかもしれない。この人、いつもバイト探してんなって(笑)。でもそれでいいんですよ。点で僕らは過ごしていくしかない。もちろん、オーディションに落ちまくっていた時期にいただいたお話だったから、宇宙人役も厭わなかったみたいなことではまったくないですよ。 やっぱりバジェットやスケールは問わず、とにかく作ってる本人が観たいものを作ってるプロジェクトに好奇心を刺激されるんです。結局、どんな作品も同じように数枚の紙で企画書をいただいたりするわけで、それをめくりながら想起される興奮というものは、今も昔も大きな差異はないなと。 ただ、『シン・ウルトラマン』に関しては、これまで自分が過ごしてきた時間が、ここで結実したなという感覚もあるんですよね。たとえば、『新世紀エヴァンゲリオン』(’95)のテレビ放送が始まったのは、僕が中学2年生のときだったんです。その頃もまだ家にはテレビがなかったので、同時代性みたいなものは持ち合わせていないんですが、中学2年生のときに中学2年生の少年が主人公の物語が始まったことに、どこか感じ入るものがあったりはするわけです。 結局、僕にとってウルトラマンシリーズもエヴァンゲリオンシリーズもタイムリーなものではないんですよ。だから、ちょっと無理やりかもしれないけど、それでも僕の中ではいろんな点が線になったというか、40年間生きてきた物語のひとつのゴールというか、ここに着地したんだなぁっていう不思議な感慨があるんですよね。
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『シン・ウルトラマン』の持つ魅力
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