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『シン・ウルトラマン』斎藤工が愛するSF映画『サンダ対ガイラ』や『ブロブ』の魅力

『シン・ウルトラマン』の持つ魅力

斎藤工_DMA-_TKM3868――最後に、そんな『シン・ウルトラマン』の持つ魅力について、どんなふうに考えているのかお聞かせください。 斎藤 “外星人”という概念がいいなと思うんです。ウルトラマンは、ものすごく俯瞰して僕ら人間……知的生命体というものを捉えてるんですよ。正義でも悪でもなく、その狭間に立つ者の眼差しというんですかね。これはオリジナルの『ウルトラマン』にもあった視点ではあると思うんですが、それがより具体化されてるように感じました。 近年、どんどんダイバーシティな世の中になってきてはいるものの、同時に戦争、紛争、内戦もなくなってなかったりするじゃないですか。こういったものはどちらか側からではなく、ウルトラマンの目線で、知的生命体のある種愚かな行いを冷静に捉える必要がある。 もっと自分にとって身近な話をすれば、我々は弱者の立場にある人々の声を聞けていたのか? 偏っていることに気づかず、いつしか腐敗的な状況に陥っていた業界であることが明るみになってきて、今やシンプルで健全なクリエイティブをどう立て直すかという局面に、僕らは立ち会ってるわけですよ。 ひょっとすると『ウルトラマン』という作品が持つ中立的な優しさが、この世界に一番欠落していたものなのかもしれない。そういう目線を持ってるようで持っていなかったんですね。で、それを突きつけるようなタイミングでの公開になってしまったなと。 斎藤工_DMA-_TKM3986-Editもちろん、ポスプロのこだわりも含め、いろんな兼ね合いがあって公開が先延ばしになり、この2022年というタイミングでの公開になったという事実はあるんですけど、でもそこに必然的な意味を感じずにはいられないんです。まあ、こうやって具体的に言葉にしてしまうことで、少しチープになってしまうかもしれません。 でもウルトラマンの目線、狭間にいることで見える景色があるんだよという考え方が、今の時代に最も必要なことなんじゃないかなと。そういう意味でも『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、そしておそらく『シン・仮面ライダー』もそうなんじゃないかと思うんですが、みなさんが知ってるキャラクターと物語だからこそ伝えられるメッセージがあって、そのことで非常に強度の高いエンターテイメントになっている。 まさに現代に生まれるべくして生まれたプロジェクトですね。かつて映画少年だった僕は、ある種の気付きを得られる作品によって自身が形成されたと思ってるんですが、この作品もまた、多くの人にとって何かのきっかけになる可能性を持ってるように感じます。 【プロフィール】 ‘81年、東京都生まれ。主演映画『シン・ウルトラマン』が公開中、主演作Netflixオリジナルシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』が配信中。映画監督としても活動しており、監督長編最新作、映画『スイート・マイホーム』(主演:窪田正孝)が’23年に公開予定 撮影/松田忠雄 取材・文/ガイガン山崎 スタイリング/三田真一 ヘアメイク/ 構成/森ユースケ 衣装協力/スズキ タカユキ
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