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『シン・ウルトラマン』斎藤工が愛するSF映画『サンダ対ガイラ』や『ブロブ』の魅力

“影”の部分を描いた実相寺昭雄氏

斎藤工_DMA-_TKM3900-Edit――なるほど。ちなみに『ウルトラマン』をご覧になって、特に印象的だったエピソードはありますか? 斎藤 やっぱり実相寺昭雄さんが撮られたものは印象深いですよね。フタを開けてみると、「あっ、これも実相寺さんがやってた回なのか!」と思わされることが多い。 子どもの目線から、一番観たいであろうサビの部分、ウルトラマンと怪獣の戦いはあまりしっかり描かれず、むしろその前後のドラマ……たとえば、その怪獣がどうして怪獣になってしまったのか? みたいなすごくおどろおどろしいけど、同時に自分のこととも捉えられるようなことを描いてるじゃないですか。 光と影でいえば、影の部分ですよね。ああいう実相寺さんの直球を投げないスタイルみたいなものが、いろんなクリエイターが芽吹いていく瞬間に養分を与えていたんだろうなと。 樋口真嗣さんや岩井俊二さんとかと話していると、いかにその影響力がすさまじかったかということが伝わってきます。樋口さんに関していえば、映像の世界に入られてから作られてるものと直結してる感じがしますけど、岩井さんのウルトラマンオタクぶりにも、ちょっと引いちゃうくらいのものがあったりするぐらいで(笑)、実はものすごく影響を受けられてるんですよ。 もしもウルトラマンが存在しなかったら、既存の多くの名作が生まれてなかったかもしれない。そういったスケールの大きさ、深みのようなものを日に日に感じるシリーズなんですね。

お気に入りの怪獣映画は?

――ご両親の影響もあって、少年時代から数多くの映画をご覧になってきたと聞きますが、フェイバリットムービーとして挙げられる怪獣映画はありますか? 斎藤 『(フランケンシュタインの怪獣)サンダ対ガイラ』(’66)ですね! 初めて観たのは小学校の中学年くらいだったと記憶してますが、その頃に観た怪獣映画の中でも特に物悲しく、なんて切ないんだろうと思わされた作品です。 サンダも哀しいし、悪役のガイラも哀しい。『泣いた赤鬼』じゃないですけど、怪獣の立ち位置が向こう側ではなく、ちょっとこっち側なんですよね。『ゴジラ』(’54)もそうじゃないですか。 その誕生をひも解いていくと、人間の欲望的なものが根を張っている。水木しげるさんの妖怪にも通ずるものがある気がします。切ないでいえば、『大魔神』(’66)も切ない映画だったな……。
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