仕事

「謝罪できない無礼なおじさん」に共通する“男らしさの呪い”とは

役職呼びを止めてみる

 さらには、「“○○課長”みたいな役職呼び、女性はちゃん・男性はくん呼びなどを止め、立場に関係なく“さん付け”で呼ぶのも効果的です」と提案。 「ロート製薬では、あだ名で呼び合う“ロートネーム”という取り組みを実施しており、代表取締役会長兼CEOの山田邦雄さんは会長ではなく『くにおさん』と誰にも呼ばれていました。ロートネームがコミュニケーションを円滑にし、職場の雰囲気づくりに好循環をもたらしているそうです」  決してハードルは高くない取り組みなのですぐにでも実践できそうだ。

「男らしさ」から脱する

 最後に謝罪できない無礼なおじさんにならないために必要なことを聞く。 「無礼な中高年男性は『有害な男らしさ』に囚われており、この『男らしさ』は“マン・ボックス”と呼ばれています。これは『男なら泣いてはいけない』『他者よりも優位な立場に立たなければいけない』といったマッチョな価値観を表した概念であり、その度合いを示す“マン・ボックススケール”という指標があります。  無礼な人にならないためには、この指標を抑えなければいけません。なにより、マン・ボックススケールが高い男性はメンタルヘルスの問題を抱えやすいため、周囲の人だけでなく自分自身の健康のためにも見直すべきです」  続けて、「マン・ボックススケールを低くするためには、周囲から指摘してもらうと良いです」と口にするも、「ただ『男らしさ』に囚われている人は、“弱い男”と思われたくないために気軽に相談できません。そもそも、他者からの助言を素直に聞き入れることも難しく、客観的な意見に反発することもあります」と、マン・ボックススケールから脱すること自体のハードルの高さを指摘。  最後に「まずは勇気を出して周囲に意見を募るところから始めてみてはいかがでしょうか」と助言した。 「男らしさ」を振りかざす男性でさえも「男らしさ」に蝕まれている。「あの人は謝罪できない」と陰口をたたかれている人は、今すぐは難しくても「男らしさ」と向き合う必要がありそうだ。 取材・文/望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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