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競馬は馬券だけじゃない!「ファンの記憶に残る5つのレース」を元競馬誌編集長が徹底解説

外ラチに向かって追え!?  14年アイルランドトロフィー

競馬

1番枠なのに、なぜかゴールまでは外ラチ沿いに!?(2022年節分ステークス)

  レースの中盤で外ラチへ向かっていったのがオルフェーヴルなら、最後の直線で外へ外へと逃げていったのが2014年アイルランドトロフィーのエイシンヒカリです。3歳春にデビューした同馬は、このレースまで無傷の4連勝。圧巻の逃げ切り続きで、ファンの期待値は大いに高まっていました。  単勝1.4倍の支持を受け、いつものように逃げの手に出ると、1000m通過が58.2秒という速めのペースで後続を15馬身近く引き離して最後の直線を迎えます。  誰もがいつも通りの逃げ切りを確信した残り400m。追い出しにかかると、右へ右へと張っていきます。ジョッキーが右打ちを入れて修正を図るのもむなしく、1頭だけ馬群を離れて外ラチ沿いへ。それでも、脚は衰えず、後続に3馬身半の差をつけて押し切りました。  エイシンヒカリはこの後、香港カップ、イスパーン賞と海外G1を連勝。その類まれなるスピード能力を、海外にも見せつけています。  同じ、外ラチに張っていきながらも勝ってしまったレースとして、リフレイムが勝利した2020年7月25日の新潟5R(新馬戦)にも注目。こちらも合わせて映像をみると、「馬が真っ直ぐ走るというのは、簡単なことではないんだなあ」と実感することができるでしょう。

理解不能の直線一気 00年根岸ステークス

 直線一気は、なかなか他のギャンブルでは味わえない競馬の醍醐味。追い込み馬の逆転劇に、人生を重ね合わせる人もいるはずです。  日本競馬史に残る「ド追い込み」として必ず名前が挙がるのが2000年の根岸ステークス。ブロードアピールが4コーナー最後方から、14頭をごぼう抜きにしたレースです。  残り400mで先頭に立ったエイシンサンルイスも実力馬で、そこから10馬身近く後方とあらば、いくら末脚自慢のブロードアピールでも、前を捉え切るのは不可能だと思われました。もし、このタイミングで馬券を買っていいと言われたら、ブロードアピールを選ぶ人は皆無でしょう(笑)。  大外から脚を伸ばし、使った上がりはダートでは出色の34秒3。けっして前が止まったわけではなく、紛れもなく自身の鬼脚でねじ伏せたのです。  国内外で36戦した後、引退して繁殖牝馬となったブロードアピールは、4番仔のミスアンコールがダービー馬ワグネリアンを産み、「ダービー馬のお婆ちゃん」として名を残しました。  なお、「残り100mからのド追い込み」部門としては、1994年のクリスタルカップを推奨します。
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ゴール前の大混戦 01年エリザベス女王杯
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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