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「2027年リニア開業が困難」は静岡県のせい?トンネル掘削の現場でみたグダグダ

 

住民に周知されず自由に発言ができない、形だけの説明会

作業服姿の住民が目立った説明会

作業服姿の住民が目立った説明会

 それが如実に表れたのは、この日の説明会の持ち方だった。議論をさせないのである。以前から説明会では、村役場の職員が役場の作業服を着て後方の席に座っていた。2026年の工事開始から6年目となり、リニア作業員の中にも村に住民票を移す人が出てきている。今回は別の作業服姿の人が後方の一角を占め、30席ほどが埋まっていた。下流域にも影響を及ぼしかねない事業だというのに、村外の人の発言を司会(長尾勝副村長)は禁止している。  それどころか、今回は「説明会がある」ということについて回覧による案内もなく、ウェブサイトでの掲示もない。「村内放送で流した」というが、筆者も含めて聞き逃す人は多かっただろう。  結果、前のほうに座っていた10人ほどの住民の中から数人の挙手があったにすぎない。筆者が手を挙げて発言しはじめると、質問はしない顔見知りの住民から「名前を名乗ってください」と遮られた。  終了間際に再び筆者が手を挙げると、「長くなったので閉会の動議を出したい」と発言する住民がいた。「嫌なら帰ればいいじゃないですか」と問い返すと、前方の住民の半分以上が退席していった。その間、前述の「名乗れ」発言時と同様、村の執行部(熊谷英俊村長)は住民同士が対立している事態をそのまま放置していた。 「本当にリニアができるのかどうか、住民は不安を持っている。ぼくたちを説得するのは、あなた方進める側ではないか」と、筆者は「スケジュールありき」の事業のあり方を批判した。  その2日後、リニア報道で日本ジャーナリスト会議賞を授与された『信濃毎日新聞』は、「(住民の)理解を得られた」という熊谷村長の談話を記事にしていた。 文・写真/宗像充
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