更新日:2022年11月14日 12:04
エンタメ

女子高生の青春「プリ」の今。スマホがあっても「あえて撮る」ワケ

後発組にもかかわらず業界シェアNo.1になれた理由

プリントシール機

2011年に発売した「LADY BY TOKYO(レディ バイ トウキョウ)」

 なかでも、2011年に発売したプリ機「LADY BY TOKYO(レディ バイ トウキョウ)」は、プリントシール業界におけるイノベーションを起こした機種で、フリューにとってターニングポイントになっているとのこと。 「今までの機種は加工で目を大きくしたりして盛っていましたが、『LADY BY TOKYO』の場合は陰影を使って、自然な立体感を出して盛る機種でした。さらに今まで外装はピンクや赤などのカラフルなカラーリング・日本人モデルを起用したデザインでしたが、黒と白のシックなデザインに変更し、モデルも外国人を起用するなど、イメージチェンジを図ったんです。  この頃はAKB48のようなアイドルブームが起きていたこともあり、清楚系だけど盛れる“ナチュラル盛り”が流行っていました。企画は発売の約1年前から始まりますが、プリ機が世の中に出る頃の時代に求められるプリ機の企画力、女の子のリアルを把握するマーケティング力に加え、アイデアを即座に形にする技術力が、業界シェアNo.1になることができた所以だと考えています」  後発組にもかかわらず、フリューのプリ機ビジネスは隆盛を極め、現在では年間のプレイ回数(プリ機で撮影する回数)は3200万回(2021年度実績)に上り、プリントシール事業だけで75億円(2022年3月時点)を売り上げる規模にまで成長したのだ。

“盛り”のトレンドは時代とともに変化してきた

平成ギャル

2000年代初頭の平成ギャルのプリントシール写真

 そんななか、プリ文化における特徴のひとつである“盛り”については「時代とともに変化している」と疋田さんは言う。  アムラーが流行り、さらには「egg」に代表されるギャル雑誌の影響でガン黒ギャルブームに湧いたのが90年代後半。  2000年代に入ると、姫ギャル系ファッション雑誌「小悪魔ageha」が話題を呼び、「age嬢スタイル」が女子高生の憧れになっていく。そして、先述したアイドルグループが人気を博すようになると、今度は清楚系が注目されるように──。  まさにガールズトレンドは目まぐるしく変化しているわけだが、「2010年代以降、女の子一人ひとりの『なりたい顔』が多様化し、いろんな盛り方が求められるようになった」と疋田さんは話す。
デザイン

昔は白一辺倒だったシールのふちデザインだったが、現在はデザインが多様化している。特に透け感のある種類のものは、晴れた空にかざしてインスタにアップするニーズがあるそうだ

「今まではテレビや雑誌で見た『〇〇ちゃんのようになりたい!』というアイコンが女の子にとって憧れの存在だったわけですが、スマホの普及やSNSの台頭によって、好みの幅がものすごく広がったんです。最近だと骨格診断やパーソナルカラーなど『診断系』ニーズの高まりからもうかがえるように『最高の自分にカスタム』する盛れ方を意識する女の子も多いですね。  こうした多様なニーズに応えるために、最近では撮影後に顔を整えられるレタッチ&メイク機能が充実しています。普通に撮るだけでもプリは盛れますが、理想の自分になるために最新機種『TODAYL』では頭のサイズまでも整えられるようになっているんです。また、シールのデザインの種類を増やしたりと、様々な好みに対応できるようにラインナップを拡充しています」
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“平成プリ”が再注目
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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