個人居酒屋を悩ませる“メーワクな常連客”の実態。「通い始めて1年くらいが要注意」
テーブルに置かれた調味料や食材を舐めたり直接口に入れるなど、飲食チェーンにおける“テロ行為”が後を絶たない。こうした傍若無人な振る舞いが確認されているのは、往々にしてチェーン店系の飲食店だが、ある個人店の店主は「表に出ないだけで個人店のバカ客、それも常連のオッサン客はもっとひどい」と嘆く。
都内で居酒屋を営む山内俊之(仮名)さんは呆れ顔で、冷蔵庫を勝手に開けて酒を飲んだ客に出禁を申し渡した話をしてくれた。
「狭い飲食店だと飲み物を入れる冷蔵庫が客席に置かれていることがたまにありますよね。ウチもレジ横に置いているんですが、そこを開けて勝手に飲んじゃう人っているんですよ。勝手にビールとか取り出して、『ビール1本、出しちゃうよ〜』なんて一声掛けてくるならまだいいんですが、勝手に取り出して会計の時にバレて平気な顔して『忙しそうだったから、瓶ビール出しちゃった』って言ってくる」
あわよくばバレずに飲めば酒代が浮くと思ったのだろう。勝手に出して飲むことに罪悪感などないのだろうか。
「だいたいこういうことをやる人って、常連。しかもそれなりに歳のいったおじさんで、私や店員に妙に馴れ馴れしくしてくる傾向がありますね。自分は常連だから特別で融通が利くと思っているんでしょうね」
山内さんが出禁を申しつけたのは、50代の常連男性客だ。
「開店した5年前から来てた古株の常連さんだったんですが、とにかく馴れ馴れしい。初めて来たお客さんに絡んだり、アルバイトの女のコにもしつこい。冷蔵庫からお酒を出したのも一度や二度ではなく『ほかのお客さんがマネするからヤメてください』って、何度も注意してたんです。
先日、初めて来たお客さんに話しかけて一緒に飲んでいたんですが、調子に乗って冷蔵庫から瓶ビールを出して『これ、みんなで乾杯しよう。俺の奢りでいいから』って。初見のお客さんが『勝手に出していいんですか?』って聞いても、『この店はこういうスタイルだから』って言うので、さすがに頭に来てその場で『すいません。何度も勝手に出さないでくださいって言ってますよね。ウチはそういうスタイルじゃないです。今日のお代はけっこうなんで、もう二度と来ないでください』って追い出しました」
大切な常連を失ったものの、意外にも他の常連客からは「面倒なヤツが来なくなってスッキリした」と高評価だったとか。
「そりゃ飲食店、それもウチのような個人店にとって常連さんってとても大事なんですが、常連の存在が悪い方向に働くと他のお客さんを失うことにもなるし、一見さんは二度と来ない。店の雰囲気を作るのも飲食店の店長の仕事ですからね。お客さんといえど、線引きは大切ですよ」
その後、謝罪のメールや手土産を持って店にも謝罪に来たが、山内さんはガンとして受け付けなかったという。
勝手に冷蔵庫を開けて酒を飲む
常連客ゆえに我慢していたが…
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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