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「入管法改正案」廃案でも収容所は悲惨。「コロナになって10kgやせた」難民の涙

初めて、入管問題が大きな話題に

デモを行う弁護士たち

法務省周辺で「入管法改正案」反対のデモを行う弁護士たち

 5月18日、衆議院法務委員会で審議されていた「入管法改正案」の採決が見送りとなり、今国会では事実上の廃案となった。4月16日に審議が始まってから、野党議員をはじめ支援者や当事者などの勢いが増し、与党による強行採決が何度も見送られてきた結果だ。  今回の「改正案」の問題点としては、主に以下のような点が指摘されている。 ●難民認定申請は原則2回まで、3回目以降は強制送還に(日本の難民認定率は1%未満) ●身に危険が及ぶなど、帰国できない事情のある外国人が強制送還を拒否した場合、刑事罰を設ける ●支援者を監理人として監視させる。管理人に対する罰金や刑事罰も  現在の難民認定の仕組みや、仮放免者・被収容者の待遇などがまったく改善されないまま、入管の権限だけを強める改正案であり、「国際人権規約に反する」との批判も高まっている。
「入管法改正案」の廃案を求める研究者たちの記者会見

「入管法改正案」の廃案を求める研究者たちの記者会見

 もともと、入管問題などの外国人に関する問題は、日本人にとっては関心が低かった。2006年、某テレビ局のプロデューサーに「なぜこの問題を番組で取り上げないのか」と筆者が聞くと、「この問題は視聴率が上がらないから、どこの局も取り上げない」と言っていた。  また、入管の収容施設では写真撮影が許されないため、筆者の『ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~』もマンガで伝えるしかなかった。テレビ等で収容施設内の様子が報じられず、被収容者が死のうが、凄惨な暴力が行われようが、決して話題が大きくなることはなかったのだ。  今回、これまでにないほど入管問題について注目されたのは、記者会見やシット・イン(座り込み)、全国各地でのデモ、SNSでの発信など、さまざまな立場の人たちがあらゆるアイデアを用いて情報を広げていったことが大きい。

廃案の背景には、長年の支援者の努力があった

国会前のシット・インに参加する田中喜美子さん

国会前のシット・インに参加する田中喜美子さん

 しかしその背景には、目立たないながらも長年地道に支援を続けていた先人たちの努力があったことも知っておかねばならない。茨城県にある東日本入国管理センター(牛久入管)で25年、面会などの支援活動を続けている田中喜美子さん(牛久収容所問題を考える会)に話を伺った。 「今回、与党の改正案が廃案になったということは非常に喜ばしいことです。牛久入管や東京入管で面会行動をしたり、日常的に仮放免者とつながりを持ったりしてきた支援者にとっては、そうした活動を阻害するひどい法案でした。ですから、今回のことはすごく嬉しい。引き続き、待遇改善のために多くの人と力を合わせていきたいです」
長崎県にある大村入管でも、2019年6月にナイジェリア人男性の死亡事件が起きている

長崎県にある大村入管でも、2019年6月にナイジェリア人男性の死亡事件が起きている(織田朝日『ある日の入管』より)

 長崎県にある大村入管で約16年、面会活動や収容施設の中で被収容者とともに礼拝を行ってきた柚之原寛史牧師はこう語る。 「54日間ハンストしていた人の仮放免手続きをしていた時に、『廃案になった』と聞いてほっとしました。支援者や弁護士、著名人と、支援の輪が広がっていったことで、法務省による強硬突破を阻止できたのだと思います。  今後は、日本の難民審査を世界レベルまで引き上げて、公平・中立・平等なメンバーによる第三者機関で行うようにしてほしい。入管サイドが決めるのではなく、弁護士やNGO関係者など、国民の理解を得られる人たちを選任する。そして、なぜこれまで多くの問題が生じてきたのかを、すべて明らかにしていくことが第一段階だと思います」
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被収容者たちは今も苦しみ続けている
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ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~

非人道的な入管の実態を
マンガでリポート!

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