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チリで迫害を受け来日した料理人、二度目の難民申請が却下。入管法改正案がさらに追い詰める

二度目の難民申請が却下された人々を追い詰める「入管法改正案」

ペニャさんの作るエンパニャーダは食べる人を幸せにする

ペニャさんの作るエンパニャーダは食べる人を幸せにする

「在留資格が出たらまず何がしたいか?」という質問に対し、ペニャさんは「働きたい」と即答する。 「ボランティアの人たちが、生活の面倒などいろいろと助けてくれる。でもそれは恥ずかしい。自分は料理人として働けるのだから、それで生計を立てていきたい」  ペニャさんの作るチリ料理、特にエンパニャーダ(パイ生地の中にひき肉、野菜、卵が入っている)は絶品だ。ボランティアや友人たちの間でも好評で、作ってあげると、とても喜ばれている。「ペニャさんに在留資格が出たらぜひうちの店で働いてほしい」という人もいるくらい腕は超一流である。  もうすぐ審議入りとなる入管法改正案が通ってしまえば、三度目の難民申請者は送還が可能になり、拒めば刑事罰が科せられることになってしまう。ペニャさんは二度の難民申請が却下されてしまった。帰国すれば命が危ないし、帰国を拒んだことで犯罪歴がついてしまえば難民認定どころか在留資格が出る可能性すらなくなってしまう。  こんなにも精神を蝕むほどの、恐ろしい究極の選択を人間に押しつけてよいのだろうか。いま一度、与党や法務省・入管庁は入管法改正について考え直すべきだ。そして人道に基づいて、難民を救うことのできる本当の入管法を作ってほしい。そしてペニャさんの苦しみを一刻も早く解放して、料理人として再び返り咲き、人々に美味しいエンパニャーダをふるまう日が来てほしいと強く願っている。 文・写真/織田朝日
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~

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