障害者や難病のハンディを抱えた人との共生社会の実現に向け、世の中は動き始めている。だが、周囲に理解されず生きづらさに悩む実情をどれだけの人が理解しているだろうか。さまざまな生きづらさが渦巻くなか、認知を広げるべく乙武洋匡氏とインタレスティングたけし氏に語ってもらった。
ハンディのある人とない人ですれ違う配慮のあり方
乙武洋匡氏(写真左)・インタレスティングたけし氏(写真右)
ハンディを持つ人と健常者が共生する社会はどうすれば実現するのか。『五体不満足』の著者・乙武洋匡氏(以下・乙武)と、バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』出演で話題となった吃音芸人・インタレスティングたけし氏(以下・インたけ)に語ってもらった。
インたけ:どうも今日はよろしくお願いします。
乙武:ちなみに今日の吃音は、10段階中どの程度ですか?
インたけ:今日は3ぐらいです。初対面なのでもっと吃ると思いました。乙武さんには、『水ダウ』の騒動のときに、ツイッターで励ましの言葉をもらって、うれしかったです。
乙武:多くの議論が巻き起こってましたよね。振り返ってみていかがですか?
インたけ:「急に先輩芸人にキレられたらどうなるか」というドッキリ企画で、僕が怒られて吃っている様子が放送されて、日本吃音協会がテレビ局に抗議したのですが、「なんで当事者の僕に一言言ってもらえなかったんだ」というのが率直な感想でした。
番組では吃音をいじったり、触れたりすることもなかったのに。
乙武:協会の抗議に対して、「インたけさんの芸風自体を否定している」という批判的な意見も多かったですよね。
インたけ:こんな騒ぎになったら、もう二度とテレビに出演できないんじゃないか。そう思ってショックでした。
あと「テレビで晒すのはかわいそう」と擁護の声も多かったですが、そう思われると笑われづらくなるので、芸人としては困りましたね。僕は個性だと思ってるので、そういうふうに見てほしいです。
乙武:配慮しているつもりが、ありがた迷惑になっちゃったというわけか。
障害の捉え方は十人十色。一人ひとりの価値観を酌んで
乙武洋匡氏
インたけ:逆に救われたコメントもあります。「今は多様性が重視されていますし、いろんな人がいるのは自然なことです。頑張ってください」って。僕自身、吃音を重く捉えていないので、たくさんテレビに出て「こういう生き方をしてる人もいるんだよ」ってもっと人に見てもらわなくちゃと思ってます。
乙武:僕も生まれた時から、障害をそこまで重く捉えていないんです。自分でご飯を食べたり、文字を書いたりできる。身障者は、外見で目立つことを嫌がる人が多いのですが、僕は幼少期から目立ちたがり屋だったので、周りから注目されたり、振り返られたりするのが快感でした(笑)。
インたけ:すごい子供時代ですね。僕は吃音を自覚したのは大人になってからで、小さいころから「吃ってる」って言われたことはあったけど、なんのことかわからなかったんですよ。芸人を始めてから「そんなに焦らなくていいよ」と焦ってないのに何度も言われて、吃音を知りました。