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「向いてない仕事をやるのはきつい」“じゃないほう芸人”が放送作家として大成するまで

何度も揉めた末にたどり着いた、今

——今の時代だったら事務所の対応も違うかもしれないですね。 佐藤:今はYouTubeやSNSをやったりして、好きなものを動画で撮って編集して流したりする人もいるし。なんなら副業をやりながらそういう活動をする人がいても良いし、みたいなことになりましたけどね。 ——佐藤さんは、その時期からタレント業と並行して放送作家業を始めますね。タレントと放送作家は仕事のペースが違うと思うんですが、スケジュール調整は大変ではなかったですか? 佐藤:めちゃくちゃ大変でしたね。やっぱり事務所の理解も得られないまま始めてるので、スケジュールについては何度も何度も揉めたりしました。 作家業界でも、芸人をやめてから作家になるのが常識だったから、「芸人やりながら作家やってるって何なの?」「なめてんじゃないのか」みたいな空気も感じていて。その中で結果を出していかないといけないので、実力でなぎ倒していくしかないじゃないですか。作家が向いているとも思ってなかったですけど、当時の僕からすると芸人よりは活路がありそうだなと思えたんですよね。

“数少ない層”には刺さるかも…

佐藤満春氏——この本は仕事に役立つようなことも書かれていると思うんですが、佐藤さんはほかのビジネス書の書き手のように自分が「成功者」であるという感じを一切出していないですよね。 佐藤:成功したとはそもそも思ってないですからね。「僕はこんな感じですけど、興味ある方は手に取っていただければ嬉しいです」ぐらいの感じです。だから、みんなに絶対に読んでほしいものではないかもしれないけど、僕ができることは全部詰めた本ではあります。 ただ、感覚としては、僕はすごく珍しいタイプの変人ではないので、皆さんと共有できる部分も絶対にあるはずなんです。世の中の「あるある」もたぶん体験してるし、同じようなことで悩んでいる人もいるとは思うので、そういうすごく数少ない層には刺さるかもしれません。成功体験が書いてあるというよりは、もうちょっと規模の小さい何かなのかなとは思いますね。 <取材・文/ラリー遠田 撮影/山川修一>
お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで
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