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『ボキャブラ天国』金谷ヒデユキ“絶頂期に引退”の後悔「30年経ってわかりました(笑)」

ボキャブラ時代の反省から「人と交流しよう」

金谷ヒデユキ氏――『ボキャブラ天国』出演時に学んだことで、今の活動の糧になっていることはございますか? 金谷:新幹線の中で太田光が俺をイジって「輪に入れよ」とやってくれたのに、そこに乗っかれなかった心残りがずーっとあるので。「あそこでちゃんとみんなと仲良くできてたらなあ」というふうには思っています。それがすごいあるから、7年前に漫才協会に入ったときは「とにかく、みんなと交流しよう」と思いました。自分の出番が終わっても、用事がなければ残って他の人の舞台を袖から見る。  あと、先輩に飲みに誘われたら必ずついて行く。あと、東洋館ではバイトのシフトみたいに舞台に出られる日に◯つけるんですけど、空いてる日があったら全部希望を出す。その3つは1年間やってみようと思ってました。先輩が飲みに誘っても、「バイトがあるので」と帰っちゃう芸人って意外に多いんです。そこでいつもついていく俺は結構おもしろがられて、師匠たちと仲良くなりましたね。 ――話は以前からよく聞いていました。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で取り上げられる前から、金谷さんがおぼんこぼんさんを仲直りさせようとしていた話を。 金谷:そうなんですよ! おぼん師匠とこぼん師匠は別々に飲みに行くんですけど、おぼん師匠と行ったときは「こぼん師匠がおぼん師匠を褒めてましたよ」って伝えて、こぼん師匠には「おぼん師匠が“コンビはあいつしかおれへんな”と言ってました」と伝えて。ちょっとずつ二人に甘い汁を与えて、だんだん距離が縮まってきたときに……あの『水ダウ』のおしぼりですよ! 「わあ、ナイツやってくれたなあ」と思いましたね。せっかく、俺がんばってたのに(笑)。

「今が一番幸せで一番楽しい」

――でも、最終的にはあの企画もいい着地点になりましたよね。 金谷:そうですねえ。あれ、最後は良かったですわ。結果知ってるのに、見てて泣いちゃいましたもん。そういうふうに師匠たちと一緒に飲みに行き、昔の芸人さんのいろんな話を聞きたいなという。青空球児・好児師匠なんて大ベテランだし、みんな怖がってあまり話しかけられないようなところがあったけど、あえて僕が飛び込んでいくと喜んでくれてましたね。そうすると、またちょっと強めにイジっても許してくれたりとか(笑)。 ――例えば、吉本では劇場で関係性ができ上がるから強いイジり合いができますよね。それが、東京では東洋館でできるという。 金谷:はい。こうやって生きていけばいいんだっていうことを30年経ってわかりました(笑)。最近まで、僕はずっと人見知りが続いてましたから。漫才協会に入って、やっと人と交流できるようになったので。 ――ボキャブラブームの頃に「イジるなよ」と空気を出していた反省点が、今につながっているという。 金谷:そこに生きてますね。だから、今が一番幸せです。今、一番楽しいです。 <取材・文/寺西ジャジューカ 撮影/中川菜美> 【金谷ヒデユキ プロフィール】 1965年、群馬県生まれ。お笑い芸人、声優、ミュージシャン。『ボキャブラ天国』では「地獄のスナフキン」のキャッチフレーズで人気を博した。ギター漫談・替え歌。声優では『けいおん!』『機関車トーマス』『トイ・ストーリー4』『アベンジャーズ/エンドゲーム』とヒット作で活躍。ミュージシャンとしても「金谷ヒデユキ&邪道アコースティックファクトリー」として音楽ライブに出演中。
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