日本がウクライナ支援を“続けなければならない”本当の理由。日本の「ある大失敗」が関係していた
シーパワーの同盟に背を向けた、戦前日本の大失敗
戦前の日本の中にはシーパワーを志向する人々と、ランドパワーを志向する人々の対立がありました。
そして、日露戦争以来、軍や政府の中でもこの対立は曖昧にされたままで、白黒をハッキリつけませんでした。
マハンのテーゼでも、「いかなる国も、大海軍国と大陸軍国を同時に兼ねることはできない」と指摘されていましたが、奇しくも日本はこのテーゼに反して戦略の混乱を招いてしまいました。
日露戦争に勝てた要因は日英同盟とアメリカによる多額の国債引き受けであったにもかかわらず、シーパワー同盟に自ら背を向けた。
第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る間の戦間期において、国際政治は19世紀的な大国のバランス・オブ・パワーから、現代につながる国際秩序へと変わりつつあったのに!
当時の日本の為政者たちは時代の変化に鈍感で、満洲事変、支那事変と武力による現状変更に手を染めてしまいました。確かに、19世紀的なルールではOKだったかもしれませんが、この時点ではもうNGでした。
しかも、当時日本は国際連盟の常任理事国です。現在、国連の常任理事国であるロシアがクリミア併合やウクライナへの戦争(自称「特別軍事作戦」)を強行し、全世界から総スカンを食らっています。当時の日本もまさにこれと同等かそれ以上のことをやってしまったのです。
「一発逆転」の考えに足を取られた、日本の大敗戦
さらに、日本はシーパワー陣営を自ら敵に回すような日独伊三国同盟を結ぶ始末。支那事変という名の特別軍事作戦(日中戦争)はどんどん泥沼化して収拾がつきません。
そんな中、アメリカの経済制裁は激しさを増します。日本の資産が凍結され、対日石油禁輸措置も発表されて万事休す。座して死を待つよりは、九死に一生を得るとのことで対米開戦の世論が盛り上がります。これは行動経済学で言うところの「プロスペクト理論」です。
負けが込んだ投資家は、一発逆転を狙って無謀な賭けに出る。人は損失を回避しようとするときに支払う高いコストを恐れないと言います。
当時の日本人はアメリカと戦っても負けることは分かっていました。しかし、負けると分かっていたのに大きな賭けに出てしまったのです。
第二次世界大戦の中でも日米の戦いは歴史上稀に見る強力なシーパワー同士の戦いです。意外に思われるかもしれませんが、人類史上、正規空母対正規空母、機動艦隊対機動艦隊の戦闘が行われたのは、この日米決戦だけです。
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、 臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、『日本経済防衛計画』(扶桑社)、『経済で読み解く日本史 全6巻』(飛鳥新社)、『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)など著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中。
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