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“コントという青春”キングオブコント2023を振り返る。明かされた「王者サルゴリラ」笑いのルーツ

ラジオで明かされるサルゴリラの笑いのルーツ

 大会翌々日の『ふんわり』(NHKラジオ第1、10/31 8:55まで聴取可能)には、サルゴリラが揃って登場。パーソナリティの木村祐一によって決勝のコントが細かく掘り下げられ、決勝一本目で披露されたマジシャンのコント「ルール」には以前は音楽がなかったこと、カードの候補に「雨の六本木」「夏の秩父・長瀞」などがあったことなどが明かされた。 「細かいところ(の笑い)が好き」という好みは木村からの影響があると語り、かつて番組で披露された木村の大喜利回答を声を合わせて誦じるサルゴリラの姿からは、二人が同じものを見て同じところで笑ってきた歴史が垣間見えるようだった。 『おとなりさん』(文化放送、10月30日までradikoで聴取可能)では、パーソナリティのアルコ&ピース平子祐希が『キングオブコント2013』チャンピオンのかもめんたる・岩崎う大をゲストに迎えて大会を振り返った。サルゴリラとかもめんたるの「(通常であれば)コントのおかずとして入れるようなボケを広げる」共通点と途中からの構造の違い、そしてそういうコントの難しさを語る二人の話は聞き応えがあった。

ファイナリストに生まれるチーム感

 決勝進出者同士はもちろんライバルではあるけれど、とくにここ最近は共演者として、同じ目標に向かう同志として、チームで大会を盛り上げる様子がうかがえる。『R-1グランプリ2023』のファイナリストがチャンピオン・田津原理音の単独ライブで再び集ったり、『THE SECOND』で戦ったコンビ同士のライブがたくさん開催されたり。 『キングオブコント2023』ファイナリスト全員が集った『コントNo.1決定戦2023アフタートーク』(FANYオンラインにて10/31 12:00まで購入可能)でもその空気は感じられた。  大会で10位かつ最年少のゼンモンキーに別の仕事があり、飛び出し(ライブ途中で抜ける)であることにみんなでざわついたり、ニッポンの社長・辻や隣人・橋本がファイヤーサンダー崎山の性格について指摘する流れがあったり、赤羽の告発によってや団の複雑な芸歴を検証する時間があったり。事務所や芸歴の垣根を超えた繋がりが、同じ戦いを経験した者同士の絆が見えた。  今後もこの流れが強まっていけば、賞レースの番組としての盛り上がりはさらに高まり、今以上にファイナリストがユニットのようにして注目されていくのかもしれない。2か月後に決勝を控える『M-1グランプリ2023』はどうなるだろう?  そういえば、サルゴリラが決勝で2本目に披露し優勝を決めた、あらゆるものを魚に例える野球部監督のコント、あのタイトルは「青春」らしい。 <TEXT/釣木文恵 イラスト/まつもとりえこ 編集/アライユキコ> 【まつもとりえこ】 イラストレーター。『朝日新聞telling,』『QJWeb』などでドラマ、バラエティなどテレビ番組のイラストレビューを執筆。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身。Twitter:@riekomatsumoto
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。X(旧Twitter):@troookie
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