日本のアダルト規制の歴史。過激な時代は終わり、現在は控えめな“チラリ”表現が人気なわけ
ネットにアクセスすれば無修正のエロを見ることができる現代に、控えめな性表現の「ちょいエロ」がコンテンツビジネスの戦略として機能している。電子コミック、アニメ、ゲーム、ドラマの制作現場で何が起きているのか? 最前線に迫る!
ネットサーフィンしているとよく目にするのが、その後のエッチな展開を匂わせる「ちょいエロ」な電子コミックの広告。’22年、コミックの市場規模は6770億円と3年連続で過去最高を更新。電子コミックはここ5年で2.5倍と急成長を遂げ、シェアは66%に達した。
特に「ちょいエロ」漫画は近年成長著しい電子コミック業界で、自社サイトへユーザーを誘導するゲートウェイの役割を担い、売り上げの柱の一つとなっている。電子コミック配信サービスで業界4位、月間視聴者数309万人(’22年2月、ニールセン調べ)のebookjapanの書店員で、その名も“ちょいエロマスター”氏は実情をこう明かす。
「露骨なエロ作品より控えめな性表現のほうがユーザーの受けはいいですね。恋愛、アクション……など、さまざまな漫画ジャンルで特集記事を出していますが、ちょいエロは数字がいきなり跳ねることも多く、他ジャンルに比べて倍とは言わないまでも、突出してユーザーがサイトを訪れる、というデータもあります。
ネットのターゲティング広告でちょいエロのギリギリを攻めて集客に繫げようという試みは、今や電子コミック業界全体の認識となっている。ちょいエロは、新たな顧客を呼び込むための有力なコンテンツなんです」
では、人はどんなメカニズムで、ついクリックしてしまうのか。精神科医の益田裕介氏に聞いた。
「コロナ禍の『マスク美人』と同様、全裸より体を隠していたほうが見る側は想像で自分好みに補完できる。また、男性は問題の答えを知ることより解くほうを好み、問題解決を図っているときに快楽物質のドーパミンが脳内で分泌されます。
チラリズムに興奮するのは、『少ししか見えず、その先に何があるのか?』という問題が解決されていないから。ちょいエロ広告はこうした人間の心理を利用しているフシがある」
ちょいエロは本能的に人を惹きつける。その上、ターゲティング広告は、ユーザーの属性やWebの閲覧履歴からその人のニーズに適合した広告が配信される。となると、ちょいエロ広告閲覧⇒ちょいエロコンテンツ購読⇒ちょいエロ広告閲覧……と無限ループに我々はハマっているような気さえしてくる。
その先を見たくなる!? チラ見せエロ広告の誘引力
なぜクリックしてしまうのか?
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