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「ラブホ代わりに使う客も」ホテル経営の紆余曲折、3年半の海外放浪後の仕事ぶり

東京オリンピックが延期、インバウンド需要の狙いが外れて大ピンチ

海外放浪

海外を放浪していた頃の写真(※本人提供)

 2020年4月からホテルを始めたハルさん。つまり世界で新型コロナウイルスが蔓延し、先行きが全く見えなくなった時期と重なってしまったのだ。予約も全然入らない状況で、さて、どうしよう。 「正直、タイミングが悪かったなと思いました。もともと2020年に東京オリンピックが開催されるはずだったので、インバウンド需要を期待していたんですよね。肝心のお客さんですが……外国人旅行者はゼロ。ただ、いつまでも落ち込んではいられなかったです」  そんななかで「地方とか近隣の人が泊まりにきた」という。なんで近隣の人がわざわざ泊まりにくるのかと思ったが、その時期は飲食店や居酒屋が自粛で閉まり、宅飲みでも家族に嫌がられるということで、仲間内で部屋を借りて飲み会を開催し、そのまま泊まるパターンだとか。また、コロナ隔離期間で利用する人もいたようだ。 「家族が感染して、自分だけが逃れてここに泊まるという人もいました。しばらくこのようなコロナ関連の客層が続いていましたが、宿泊では厳しいので、レンタルスペース(時間貸し)を始めようと思いました。ここは都心のオフィス街でもないので、うちは仕事関係の利用ではなく、やはり仲間内でパーティーや飲み会のために使う人が多かったです」

「ラブホ代わりに使う人も」4人の男女が全裸で…

清潔感のあるリビング

清潔感のあるリビング

 お洒落で清潔感がある部屋。レンタルスペースには、こんな利用者も……。 「ラブホテル代わりに使う人が出てきました。仕方がないことなので、ある程度は許容していたのですが……」  男女4人組が“誕生日会”という名目で部屋を借りたときがあったという。その日は白人カップルの旅行者が別の部屋に宿泊していたのだが、外出中だった。 「なにか4人組の動きが怪しいと思って、監視カメラを見てみると、全員が素っ裸で玄関付近をウロウロしていたんです。規則違反なので電話したら出ないので、メールで厳しく注意しました。白人カップルがいないタイミングで良かったです」
箱

お菓子やインスタントコーヒーが入った箱

 そんなレンタルスペースだが、実際そこそこ儲かっていたようだ。 「早い時間帯はカメラマンが意外と多かったですよ。撮影をしていたみたいですね。ただし、宿泊とは規則や仕組みが異なり、もしも備品を壊されたり、持ち逃げされたとしても相手の個人情報がわからず、請求できなかった。だからレンタルスペースをやっていたときはストレスでしたね。部屋を汚されたりもするので」
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海外放浪の経験が“人生の糧”に
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旅行作家、旅行ジャーナリスト。著書の『ブラックロード』シリーズは10冊を数える。近著に『ウクライナに行ってきました ロシア周辺国をめぐる旅』(彩図社)がある。人生哲学「楽しくなければ人生じゃない」

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