仕事

半年で大学を中退して農家に。SNSを活用も「周囲に認めてもらえず」…それでも諦めなかった女性の挑戦

品質が向上し、さらに廃棄も減った

ブランド化して最初の年には前年比180%の売り上げになったという。夢子さんの情熱が、結実して数字になっていることも、ひとつのやりがいだ。そして売り上げだけでなく、品質にも結果が出始めていた。 「我が家は土地が小さいため、ほとんど全て手作業です。なので、ひとつひとつの野菜を自分の目で見て、手で感じながら育てられます。結果的に、味だけでなく形も優れたものが増えるので『特A品』という評価をもらって出荷しています」 さらに、農業を始めた頃のモヤモヤも自身のアイデアで解消している。 「サイズや形が規格に合わなかったり、売れ残ったりした野菜を、こんなに捨てなくちゃいけないんだという驚きがありました。どうにかして捨てずに済むように、小さいものを『一口やさい』、大きいものを『ドデカやさい』と名付けて販売しました。すると、他で売られていない分、需要もあったようでちゃんと売れたんです。今、うちはほとんど捨てるものもありませんし、不良在庫もないんですよ」 目の前のことに対して真剣に取り組んでいるうちに気づけば、売り手と買い手、さらには廃棄を減らして地球環境にも優しいという、まさにビジネスの基本と言われる「三方よし」が出来上がっていた。

若い世代の人たちに伝えていきたいこと

YUMEYASAI

育児と仕事を両立した経験を周囲に伝えていきたい

様々な苦労を乗り越えて、『YUMEYASAI』を軌道に乗せた夢子さん。仕事とともに4歳と2歳の子供の育児も両立している。 「今年からようやく保育園に預けられるようになりました。でも、それまでは朝採りの収穫の時間帯から一緒に連れていって、子供達には畑で遊んでもらいながら作業をしていました。畑用に買ったベビーベッドで寝てもらう時期もありましたね」 仕事も子育ても両立させることは、かねてから実現したかった働き方でもある。 「農家は確かに大変さもあります。でも、私より若い世代の人たちに楽しさや喜びもたくさんあるということを伝えていきたいんです。そして、私が実感している『外で働くことの面白さ』に気が付いてもらえればいいなと思っています」
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母になって生まれた“消費者目線”
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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