更新日:2024年01月30日 09:23
ニュース

“虚偽のDV申告”で子供と金を取られ自殺を考える夫も。国会で審議中の「共同親権」で何が変わるのか

DVがあったかのような雰囲気で進んでいく裁判手続き

 場合によっては、ひと月ふた月と、何の音沙汰もない場合もある。そして、ほとぼりが冷めた頃に弁護士から通知が届く。 「“この度は、私が誰々誰子さんの代理人になりました。つきましては、私が窓口になりますので、今後一切あなたから誰子さんへの連絡をお控えください。子どもへの面会も当分認められませんのでご理解ください”ってくるわけですよ。やられた側は、自分も弁護士を立てて対応することになり、裁判所に行きます。裁判所は公平中立なところだから、一方の話だけを聞いて終わらないところだと思って、期待していくんです。ところが、そこでみんながっかりするんです」  妻が行政や警察にDVを受けたと相談して、行政が作った文書が資料として出てくると、DVがあったかのような雰囲気で手続きが進行していく。

家庭裁判所の調査官ですらDVのありなしを認定できない

「数年前に、ABEMA TVで、子どもの連れ去り問題特集をやっていました。家庭裁判所の元調査官が出てきて、“DVがあったかなかったかなんて、正直、私達には認定できません”と言うんです。だったら、ないものとして扱えと言いたい。だけど、形として区役所が作った資料などが出てくると、被害者の言い分だけが載っている資料が証拠として使われていっちゃうんです」  妻へのDVがあって、子どもの面前でもDVがあったと言われると、裁判所は面会交流(子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的、継続的に、会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流すること)することに対して否定的な方向で考える。 「私が受け持った夫の案件では、妻側が、ある区が作ったDV相談処理表と、警察に相談したという証拠を出してきました。こちらから子への面会交流の調停(後に調停は不成立になり審判に移行)を起こしました。家庭裁判所の調査官が調査をするのですが(調査官調査)、こちらサイドの面談調査を全くやらずに、連れ去った奥さんと子どものインタビューだけをする。ほとんどは区が作ったDV相談履歴に沿って、さもDVがあったかのような調査報告書が出来上がってしまいました」  裁判官は、当然、その調査報告書に重きを置く。直接の面会交流をすることは難しいと判断し、3ヶ月に1度、写真を1枚送りなさいという、面会と言えないような判断を下して終わったという。
次のページ
寝る間も惜しんで働く夫ほどお金だけ取られ子に会えない
1
2
3
4
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ