お金

「時価総額4000億円」を突破…“キーエンスと並ぶ営業力”を持った企業の正体

徹底的な生産性の向上で案件に接触する数を増やす

 M&A総研の営業力を強化している立役者が取締役COOの矢吹明大氏。明治大学卒業後、キーエンスに入社して製造業向けのコンサルティングセールスを行っていた人物です。矢吹氏は2015年に日本M&Aセンターに入社して仲介事業のノウハウを体得しました。  M&A仲介の問題点に、膨大な事務作業があります。売り手企業をその気にさせる直筆手紙での挨拶状の作成、担当している案件の経営者からの問い合わせ、必要な書類の作成や受け渡しなどです。  結局のところ、営業力の強さは案件に接触する数を純増させることが一番。M&A総研は1年で90名から200名に増やしている通り、業界に精通したコンサルタントばかりを採用できるわけではありません。業界未経験者であればあるほど、接触回数を増やすことが結果につながります。  手紙の外注化や事務作業のデジタル化など、矢吹氏は徹底して効率化を推し進めたのです。

「高年収をフックに人材を集める」時代の終焉か

 更に迅速に第一線で活躍できる人材育成プログラムを確立。ソーシングやマッチング、実務などの各業務プロセスにおける研修制度を設けており、定期的に内容も更新しています。また、入社から1年6か月ほどで部長に昇格するなど、実力本位でモチベーションを高める人事体制も作っています。  M&A総研は現代の企業らしくデジタル化で無駄を省き、生産性を高めました。DXによる生産性の向上、育成プログラムによる短期間でのノウハウの習得、モチベーションが高い状態で働ける人事制度。営業力を最大限に高めるための仕組みづくりで成功した会社だと言えます。  M&Aキャピタルパートナーズのように高年収を提示して優秀な人材を引き入れ、営業力を強化するだけの時代が終わりを告げようとしているのかもしれません。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ