更新日:2024年04月04日 10:59
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中国「秘密警察」が日本人にも接触。日本のカルト教団なども監視か

中国秘密警察から接触された日本人男性

 現在でも秘密警察とみられる組織の人間から接触を受けるこの男性は、 ・50代前半 ・東京都内の商社経営者 ・過去に遼寧省への駐在経験がある ・駐在中に中国人女性と結婚。子供(男児)が1人いる ・帰国後に転職し、新会社として設立されたグループ企業の社長に就任し現職 という経歴を持つ人物だ。  意外にも秘密警察からの初接触は、日本帰国後のことだったらしい。  ある日、携帯電話へいきなり着信があり、「〇〇さんですよね?」と、日本語で名指しされたそうだ。この時、相手は、中国公安の人間だと名乗ったとのこと。  男性は、とっさに「行動が監視されている…」と思ったそうだが、電話の男の言葉は丁寧で、物腰も柔らかかった。  電話の男からは、「奥さんと息子さんの日本でのビザをスムーズに処理するサポートができる」と提案され、それに応じた。  しかし、男性の妻と息子は、数年前には日本へ移住しており、すでにビザも取得し、問題なく生活していたので、サポートなんて不要だったはずだが、「断れなかった」と受けたようだ。  以降、男性には、中国公安を名乗る男から定期的に連絡が入るようになる。

秘密警察が警戒する中国政府がカルト指定する宗教団体

 接触してくる中国公安を名乗る人物からは、業界情報、日本人・中国人の知人について。さらには、中国政府が名指しで邪教(カルト)認定する特定の新興宗教の活動実態なども聞かれているようだ。  中国政府は、官製の反邪教協会を通して、日本や韓国の特定の宗教への警戒を国民へ繰り返し呼びかけている。  中国では、認められた宗教施設内に限り宗教活動ができる。  宗教活動が公認されているのは、カトリック、プロテスタント、イスラム教、仏教、道教の5つの宗教・宗派に限られる。  これら以外、つまり、日本で新興宗教と呼ばれる宗教は原則禁教となる。その中でも、反邪教協会がカルトとして名指しする新興宗教は、中国政府による取り締まり対象、拘束理由とされるとみて良い。  日本で暗躍する秘密警察は、中国政府が名指しするカルト教団についても調べていることがわかってきたわけだ。
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メインの活動は、在日中国人の監視
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東京生まれ。20代後半に駐在として中国へ。駐在、現地採用、留学生を経てフリーに。2011年編集者、ライターデビュー。現在は、13年ほどの拠点にした中国から日本へ移し活動中。中国を除けば渡タイ回数が一番多い。掲載メディアは『ハーバー・ビジネス・オンライン』、『日刊SPA!』、『グローバルニュースアジア』、『日本と中国』、『週刊SPA!』、『別冊SPA!』、『ニューズウィーク日本語版』、『ローリングストーンジャパン』、『G-Diary』、『俺の旅』など。その他、日中関連の媒体、研究団体機関紙。twitter:@ito_wagatsuma

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