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「外交」で戦争の動機を摘み取れ<自民党衆院議員・村上誠一郎氏>

―[月刊日本]―

岸田総理には気迫が感じられない

自民党

yu_photo – stock.adobe.com

―― 岸田政権の支持率が下がり続けています。直近の読売新聞の世論調査では、内閣発足以降最低の36%となりました。支持率下落の原因はどこにあると思いますか。 村上誠一郎氏(以下、村上) 総理になる人はみな「総理大臣としてこれがやりたい」という政策を持っています。それが政治家としての気迫や、問題に立ち向かっていく姿勢としてあらわれます。しかし、残念ながら現在の岸田総理にはそうした気迫が感じられません。  日本はいま、財政・金融・外交の立て直し、ロシアのウクライナ侵攻によって生じたエネルギー危機や食料危機など、解決すべき課題が山積しています。旧統一教会問題や円安による物価上昇、東京五輪をめぐる汚職問題なども重要です。  これらの問題をすべて一気に解決することはできませんが、優先順位をつけ、一つ一つきちんと対応していく必要があります。私を含め、多くの人たちが岸田総理にそれを期待していたはずです。  しかし、統一教会問題一つとっても、岸田政権の対応には確固とした方針が見られず、場当たり的と言わざるを得ません。岸田総理は自民党と旧統一教会との関係を絶つと表明しましたが、旧統一教会の実態を把握せずに関係を絶つことなどできるでしょうか。  政権の対応が場当たり的になってしまっているのは、一つには、司令塔が存在しないからだと思います。もっと政策に精通した人を官邸に集めなければ、全体を見渡して的確に対応していくことは困難です。  また、政務調査会や国会対策委員会など、それぞれの機関が政権をサポートする体制になっていないことも問題です。たとえば、旧統一教会との関係を批判されて辞任した山際大志郎前経済再生担当相が、数日後に自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部長に就任しましたが、この人事が国民感情を逆なでするのは当然でしょう。本来なら党の責任者たちが止めるべきでした。党幹部たちがうまく連携できていないように見えます。  岸田総理が会長を務める宏池会が長らく政権から遠ざかっていたことも大きいと思います。経験不足によるミスが目立ちます。宏池会の池田勇人総理や大平正芳総理が活躍していたころとは違うわけですから、党全体から優秀な人材を集めるべきです。  もう一つ原因をあげるなら、政権中枢まで国民の声が届かなくなっていることです。かつての自民党は、幹事長や国対委員長などが国民の不満を感じとり、マスコミ報道なども踏まえ、耳の痛い情報を総理に直接伝えていました。しかし、いまはそうした動きがほとんど見られません。第二次安倍政権以降、総理総裁の力が強くなったため、誰もがトップに忖度し、政権に不都合な情報を届けなくなってしまったのです。

インフレの最大の原因はアベノミクス

―― 旧統一教会問題もウクライナ戦争もきわめて重大な問題ですが、国民の最大の関心事は円安によって生じたインフレだと思います。政府・日銀は為替介入を行いましたが、円は一時的に急伸したものの、すぐに介入前の水準に戻ってしまいました。 村上 為替介入をすれば投機筋の動きを抑えて一時的に円安のスピードを鈍化させることはできますが、円安を根本的に解決することはできません。そもそも日本一国だけで為替介入したところで、全世界の市場を動かせるはずがありません。  円安の最大の原因は、アベノミクスによって日銀が異次元の金融緩和を行い、ゼロ金利政策をダラダラと続けてきたことです。金融緩和はあくまで民間主導の成長軌道が生まれるまでの「繋ぎ」にすぎません。本来なら短期間のうちにやめなければならない政策です。ところが、成長戦略がうまくいかず、いつまでたってもイノベーションが起こらないために、金融緩和をやめるにやめられないのです。  日本がゼロ金利政策から抜けられない一方、アメリカはインフレ対策のために金利を上げているので、日米の金利差はどんどん拡大しています。その結果、円売りドル買いが起こり、円安が生じているのです。円安を抑えるためには金利を上げるしかありませんが、そうすると今度は利払いの増加によって公債費の負担が増えるため、そう簡単に利上げすることもできません。放漫財政のツケが回ってきているのです。  先般、イギリスのトラス政権が財政の裏付けのない大型減税を打ち出した結果、市場からとがめられ、史上最短の任期で退陣に追い込まれました。それでもイギリスの債務残高は対GDP比で87%ほどです。これに対して、日本は260%を超えています。G7の中で200%を超えているのは日本だけです。  日本は巨額の外貨建て債権を有しているので、一概にイギリスと比較することはできませんが、わが国の少子高齢化の進展や国際競争力の低下を見れば、イギリスの事例は他人事ではありません。通貨危機に陥る恐れもあります。それによって苦しむのは次の世代の子どもたちです。そうした事態だけは何としても避けなければなりません。  政治家たちは国民の支持を得るために簡単に財政出動をしてしまいますが、それは間違いです。もちろん円安によって経済的に苦しんでいる人たちへの支援は必要ですが、本当に困っている人を直接助けることが必要です。安易なバラマキはすぐにやめなければなりません。
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外交努力なしに防衛費倍増論など本末転倒
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