“銀座のホステス兼女医”が語った過去。いじめられた学生時代、美容整形に400万…医師の肩書なんて「どうでもいい」
昼は女医、夜は銀座のホステス――アニメや漫画などのキャラクター設定にありそうだが、確かに実在する。彼女の名前は鷹見夜。前述の二足のわらじに加え、大手WEBメディアでの連載執筆や有名YouTubeチャンネルへの出演もこなす才女だ。
先ほどアニメや漫画のキャラクターのようだと書きながら、肝心の当人は育った家庭の事情で「ほとんどアニメも漫画も知らない」のだという。あまりにもセンセーショナルなため、一部ネットではそもそも存在自体が虚構とさえいわれた鷹見氏の過去に迫った。
SNSのウィットに富んだ投稿からは想像できないほど、可憐で笑顔の多い女性だ。これまで半信半疑だった鷹見氏の存在が目の前ではっきりと輪郭を示す。
筆者の根掘り葉掘りの質問にも嫌な顔ひとつせず、彼女は誠実に応対する。
鷹見氏は音楽大学卒の母と医師の父のもとに産まれた。幼い頃からヴァイオリンの英才教育を受け、小学校を休んで日に8時間の練習をこなすことも珍しくなかったという。当然、テレビや漫画などの娯楽は禁止。書籍さえも親の“検閲”があった。
「放課後、友達と遊んだことがありません。とにかくヴァイオリンの練習を中心とした毎日で、『1秒も惜しむな』が母の口癖。気を抜いたりすれば当然、殴られたり蹴られたりします。ただ、その“サボり”の基準がとても厳しくて、1日の練習を終えたらぐったりして寝てしまうほどでした。熱があろうが関係ありません。39度の発熱がありながら演奏会のステージに立ったこともあります。当然、アニメも漫画もゲームも知らずに育ったので、同年代とは話がまったく合いません」
習い事の範疇を超え、もはや強制労働さえ想像させるヴァイオリンだが、鷹見氏にとっては「生きる意味」だったのだそうだ。
「確かに練習は苦しく、親からの暴言や暴力は酷かったと思いますが、産まれたときからずっとやっているヴァイオリンが私の支えだったことは否定できないと思います。東京藝術大学に入学し、ゆくゆくはプロになるのだと信じていました。実際、同大の先生のところへ飛行機で習いにも行っていて、先生からも『プロになれる可能性がある』と言われていました。コンクールでの成績もそれを物語っていました」
だが中学校に入学すると、鷹見氏を取り巻く環境はさらに悪くなる。
「子どもが好きなもの、共通の話題になりそうな文化を何も共有していない私は、浮いていたと思います。くわえて、私は気が強く、大衆文化を下に見ていたようなところがあります。ヴァイオリンの練習のために掃除係を放棄するなどの“奇行”が目立つうえにペーパーテストの成績はずば抜けていたこともあって余計に反感を買い、いじめの標的にされるまでに時間はかかりませんでした」
ヴァイオリンを1日8時間練習し、娯楽は禁止…
浮いた存在だったこともあって、いじめの標的に
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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