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高速道路で“レンタカーを煽り続ける”黒のアルファード。恐怖のドライブに遭遇した男性の告白

夫婦ともにパニック状態に

 こうなるともう、武藤さんは逃げるしかない状況に。スピードを上げて前方の車を追い越し、後ろに付かれないようにやや強引に車列に割り込んだ。するとアルファードは猛スピードで武藤さんの車を追い越し、ウィンカーを出さずに武藤さんの車の前に割り込んできたのであった。 「後ろの席では子供たちがスヤスヤと寝ていましたが、私と妻はパニックです。この話をすると『スマホがあるんだから撮影すればよかったじゃないか』とか、『奥さんから警察に電話させればよかったのに』って言われますが。普段から車に乗ってないし、ましてや煽り運転なんてされたこともないから、そんなことは考えつかなかったんですよ」  その後、アルファードは突然急ブレーキを踏んだり、武藤さんが追い越そうとするとハンドルを右に切って車線をまたぎ妨害するようになった。 「とにかくどうやって煽り運転をしている車を撒くか。サービスエリアに入ると、そこで絡まれるかもしれないと思い、次のインターで降りることにしました。しかし、ウィンカーをちゃんと出したら付いてこられる可能性もあったので、ギリギリまでウィンカーを出さず、一気にハンドルを切ってインターチェンジで途中下車して振り切りました」

バックミラーを見るたびにあの日の出来事が…

 なんとか振り切れたものの、武藤さんはしばらくは放心状態だったという。 「まさか自分が煽り運転をされるだなんて考えたこともなかったので、煽り運転をされているとわかった瞬間から恐怖の連続でした。高速道路で停車寸前までスピードを落とされたときは、ニュースで見た東名煽り運転事故がよぎりましたね。私のような、たまにしか車に乗らない人は運転に慣れていないので、むちゃしない人が多いと思うんです。でも、乗り慣れている人からしたら『かったるい運転すんな!』って思われるのかも……。それと、煽られてるって気がついていないこともあるのかもしれませんね」  武藤さんはこの一件以来、バックミラーを見るとあのときのことを思い出して体が硬くなることもあるようだ。  ここ数年は煽り運転による検挙者数も増加しており、警察も検挙には本腰を入れている。くれぐれも頭に血が上っても努めて冷静にハンドルを握ってほしい。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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