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キャリア14年の“現役弁護士”が芸人になったワケ「揺れ動く心も含めて、ネタにしていきたい」

殺人と死体遺棄の違いを知ってるかい♪

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5月、弁護士でありながらタイタン所属芸人となった藤元達弥さん。彼の思い描くお笑いとは?

 2024年4月、芸能事務所「タイタン」養成所の修了公演。ギターを携えたスーツ姿の長身男性がさっそうと舞台に現れた。 「新宿で弁護士をやってます。藤元達弥です」  他の芸人とは明らかに異質な雰囲気に一瞬ざわめくが、ギターを奏で歌い始めると会場からはすぐに大きな笑いが起きた。 「殺人と死体遺棄の違いを知っているかい♪ えー、死体遺棄でまず逮捕して、捜査を進めた上で殺人で再逮捕してそっちで起訴することを狙っているんですかね」 「弁護士と税理士はどう違う♪ 弁護士の方がモテます!」  14年のキャリアを持つ弁護士でありながら、5月からタイタン所属のお笑い芸人となった藤元達弥さん。老弁護士とのイライラするやりとりを描いた『ぽんこつじいさん』、不倫をした時の慰謝料の相場を歌にした『不倫の相場』など、自身の仕事をもとにしたブラックなネタでウケをとる異色のスタイルだ。 「独身時代に買ったエロ本は特有財産」 「弁護士のタイムチャージは2万2000円」 「使っても使ってもなくならないもの、それは黙秘権」  など、自作の曲で歌われるネタはどれも、クスッと笑えながらもあまり知られていない法的知識を得ることができるものとなっている。

音楽に集中するため、「普通の幸せ」を手放す

 音楽を始めたのは大学時代。当時はお笑いをすることになるなど、想像もしていなかったという。 「フォークソングのカバーがメインで、作曲も遊び程度にやっていました。その後、司法試験に集中していたので本格的に音楽を再開したのは2010年に弁護士登録してから3年後くらいでした」  それがいつしかライフワークになったのは、ライブ活動を始めてから5年後のことだった。 「月1回のペースでライブをしていたのですが、のめり込んでしまって。やるなら、ちゃんとやりたいと思い始めたんです。表現自体を磨いて、人に何か影響を与えるほどにならなければ、ただ音楽をしているだけの弁護士になってしまう……そんな焦りを感じ始めたんです」  当時、交際7年になる恋人と同棲中で結婚の話も出ていたが、別れた。 「別れた理由の一つに、生活が安定してしまうと表現活動ができなくなるということがありました。結婚して子供ができたりすると、社会的にも認められ、満たされる。弁護士の仕事をきちんとやっていれば、収入もある程度得られる。でも、やりたいことをごまかして、中途半端に歳を取るのが嫌だったんです。それからは曲作りに時間を割き、ライブ出演もそれまでの4倍ほどに増やしました」  表現者として特に意識したのは「場数をこなすこと」だという。 「彼女と別れた後に、とあるシンガーソングライターと交流があって、その人の影響をすごく受けたと思います。月に10本〜20本もライブをする人で、とにかく多作だった。ライブをあまりやらないミュージシャンは割といるんですけど、その人を見て自分も最低、週に一回はライブをしたほうが良いと思いました。人前に立つ機会をなるべく増やしたほうが、表現が磨かれていくと思ったので」
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突如現れた、お笑いへの道標
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