恋愛・結婚

“非の打ち所がない”20代男性の背筋がゾクっとする正体。「マンションの扉を開けて出てきたのは…」

「二人で会えないの?」と聞いてみるものの…

 翌週末も彼のマンションへ行った。金曜日の午後七時過ぎに彼のマンションのドアを開けると、そこにはまたも母親がいたのだ。 「その日も三人で料理を囲んで食事をしたんです。それなりに楽しいんですけど、そういうのを望んでるわけじゃないんですよ。二人でいちゃいちゃもできないわけじゃないですか。それで、その日に聞いたんです。一緒に住んでるの? って。そしたら、お母さんはわざわざ車で三十分以上もかけて来てるんです。私が家に来るときは彼が母親に連絡するルールがあるようで」  佐藤さんは続ける。 「文句というか、二人で会えないの? って伝えました。今は三人がいい、というのが彼の回答です。納得はできませんでしたけど、関係が壊れる方が怖くて」

一年経って「結構楽しくなってきた」

 その後付き合って一年ほど経つが、今もなお彼のマンションへ行くときは母親がいるという。自分の身に喩えたらノイローゼになりそうな気もするが、その辺は大丈夫なのか。 「それが結構楽しくなってきて。ごはんも作ってくれるし、嫌味も言ってこないんです。娘みたいに可愛がってくれるんですよ。誕生日にブランドのバッグもくれたり。だから、もうこのままでもいいかな、って気持ちになっています」  しかし、男女の儀式のようなものはどうなっているのか。 「それは、まあ。こっそりしています。お母さんが家に来るのが遅れてるときとか、買い物に出てるときとかに様子を見計らって。ロマンティックではないですけど、初めてのときもそんな感じでした」  佐藤さんは明るい表情でそう語る。  常識やルールというものは、それまでの人生においての思い込みなのかもしれない。彼らが幸せならば、他人からどうこう言われる筋合いもないのだろう。 <TEXT/山田ぱんつ>
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