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「汚れた東京湾を8キロ泳いだ」防衛大卒の女性が語る学生生活。学内の“恋愛事情”も

容赦ない指導でメンタルを病むことも

 防大生にとっては、たまの訓練よりも、精神的なキツさのほうが余程こたえるようだ。それは主に、上級生からの容赦のない指導。ときには𠮟責を伴い、これで挫けそうになる学生は数多い。 「日々の掃除の手順を間違えた、配膳の仕方が甘い、上級生に敬意がないなど、もう本当に些細なことも含め、朝から晩まで何度もあります。廊下を掃除していた同期が注意され、私が連帯責任で腕立て伏せをやらされたりとか。1年生の間は、怒られない日はなかったほどでした。  今は指導も改善されてきていると聞きますが、それでも理不尽な指導で、メンタルを病んでしまったりとか、自傷・自死に追い込まれた人もいます。自分で自分を追い込んでしまうタイプは、そうなりやすいのです。同期はみんな仲間ですし、誰かに相談してくれれば状況は変わったかもしれないと思うと残念です」

ハードルが高すぎる防大生の恋愛

定年自衛官再就職物語

松田小牧『定年自衛官再就職物語 – セカンドキャリアの生きがいと憂うつ -』(いずれもワニブックスPLUS新書)

 厳しい教育環境のなか、防大女子の恋愛事情はどうなっているのか? やはりという感じだが、恋愛中心とは縁遠い日常のようだ。 「そもそも防大女子は、なかなか防大生ではない男子との出会いがありません。そして防大生同士の恋愛は、大っぴらにはできず、かつては学内の恋愛を撲滅するという非公式の委員会があったほどです。  それもあって、化粧は禁止ではないですが、4年間、みんなすっぴんで通します。休日に髪を下ろして化粧すると、『誰だかわからなかった』と言われることも。それでも年頃なので、防大生同士で恋に落ちる人はいます。寮や部活動、休日の飲み会がきっかけとなることが多いです。  普段は就寝後に布団をかぶってスマホの光が漏れないようにして、お互いやりとりする地味なお付き合いです。学内でイチャイチャしているのが発覚すると、厳しく指導を受けます。さすがに、強制的に別れさせるとかはありませんが……
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引き留めの嵐に遭う任官拒否
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ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

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