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月収60万円なのに軽バンでの“車上生活”を続ける28歳Amazon配達員「いつかは地に足をつけた生活をしたい」

12時間拘束のあとに仕事も

 アマゾン・フレックスではなく、アマゾンと直接契約している法人「アマゾン・デリバリープロバイダー(デリプロ)」から仕事をもらって働く方法もあり、木村さんも最初はデリプロで働いていたという。会社が入っているため、研修もあり福利厚生が手厚いそうだ。 「僕も最初は慣れるまでデリプロの会社で働いていたんです。契約は業務提携で、仕事は安定して貰えて希望すれば社会保険にも入れます。でもやっぱり拘束時間は長いし、いろいろ諸経費が引かれて手取り30万円程度とちょっと安かったので……。個人でやったほうがいいかなと思い、慣れてからフリーランスに転向しました」  アマゾン・フレックスとピックゴーの働き方はやや似ている。前者はアマゾンの荷物のみだが、後者はそれ以外も取り扱う。一方で、夜は仕事をしないなどシフトが選べて自由度が高い。さらにどの場所やどの案件を選ぶかなど自分で決められるのは、両者に通じる。アマゾン・フレックスは週に50時間までしか働けないという制限もある。 「どちらがいいかはどちらも一長一短ですね。1番稼げる方法は朝4時からのアマゾン・フレックスで7時までに配り終えて、そのあと8時からピックゴーの12時間拘束の仕事を選択することです。ピックゴーの12時間拘束といっても、なんだかんだ18時くらいに仕事が終わることが多いので、そのあと19時からアマゾン・フレックスの仕事を再び入れることもあります。1日働き詰めで5万円くらい稼げます。しかも、時間によっては昼寝とかもできるので正直かなり楽です。ただ、疲労も蓄積しているので次の日はのんびりと過ごすことにしていますね」

家を借りるよりも安い

20代アマゾン配達員

洗濯物はこまめに洗うという

 個人配送業としての働き方はわかった。では、そもそもなぜかなりの稼ぎを叩き出しているはずなのに、なぜ木村さんは家のない生活を続けているのだろうか。 「僕の場合、車が家なのでいつでもリラックスできるんですよ。あと車の維持費が、リース代月3万円、ガソリン代が約4万円、保険が1万4000円。月1回3000キロごとのオイル交換が3000円で、住むところの出費が約8万7000円と、家を借りるよりもかなり安く済ませられるのがあります。主な寝床はインターネットカフェの駐車場なので、駐車場代もかからないです。あ、ちゃんとインターネットカフェは利用もしていますよ」  車の中だけだと収納スペースに限界があり不便だが、インターネットカフェも活用して、限りあるスペースでうまくやっているようだ。 「インターネットカフェは宿泊ではなく、シャワールームを利用しています。車の中に積んでいる服も、着用後はビニール袋にまとめて、溜まってきたら一気にコインランドリーで洗濯して乾燥機をかけています。また、現場の倉庫に前乗りして睡眠をとってから仕事に向かうようにしています。駐車禁止が書いてない白線のところに止めて夜20~朝7時は注意もされないので寝ています。そうすると寝起きにすぐ仕事にかかれるので、かなり調子が良いです。本当は全国を旅しながら働きたいところですが、配送の仕事はやはり都内に集中しているので難しそうです」
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台風の日や雪の日は地獄
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’92年神奈川県鎌倉市出身。ライター業、イベント企画、映像編集で生計を立てています。レビュー、取材、インタビュー記事などを執筆。Twitter:@yamazaki_naoya

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