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中国で“絶好調”のサイゼリヤ。中国人を魅了する「圧倒的な安さ」を海外でも実現できる理由

圧倒的な“安さ”はどのように実現されたか

サイゼリヤ採用サイト

新卒採用サイトからも中国への意欲がうかがえる

 サイゼリヤは自社でサプライチェーンを構築し、コスト削減を実現しています。具体的には、中国市場向けに広州に食品工場を設立し、現地生産を行うことで輸送コストを大幅に削減しています。  また、トマトやレタスなどの主要な食材は自社農場で栽培し、品質管理を徹底。さらに、各地に自社の供給網を持ち、原材料の品質とコストを一貫して管理することで、低価格でありながら高品質な料理を提供することを可能にしたのです。  サイゼリヤは、調理工程の標準化や専用機器の導入にも着手しました。これにより、少ない人手で多くの料理を提供することができるようになったことは、低価格の維持に大きく貢献しています。このノウハウを完コピするために短期間働くスパイもいるとか(笑)。

大都市の安い場所を狙って出店

 中国では、サイゼリヤの店舗は上海、北京、広州などの大都市に集中しており、全体の60.78%が一線都市に位置しています。一流商圏内の二流店舗を選ぶことで、賃料を抑えつつも集客力を確保する戦略を採っています。  また、既存の店舗をリノベーションして使用することで、初期投資を大幅に削減しています。さらに、サイゼリヤはリノベーション時に必要な設備を最小限に抑え、低コストでの運営を実現しています。  このようにして生み出されたサイゼリヤの低価格戦略は、中国市場でも非常に効果的であり、競合他社に対して大きな優位性を持っています。  例えば、ピザハットの客単価は70元〜100元と、サイゼリヤの約2倍に相当します。この価格差は、サイゼリヤの低価格戦略が多くの消費者に支持される理由の一つです。  特に中国の消費者はコストパフォーマンスを重視するため、サイゼリヤのリーズナブルな価格設定は非常に魅力的に映ります。
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西洋料理は中華料理より調理が簡単だった?
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京都出身。同志社大学卒。中国青年政治学院留学。2020年に中国人のビジネスパートナーと共に中国深センで起業。中古ブランド品のビジネスからスタートし、その後、日本やアメリカ向けのOEM貿易、中国SNSマーケティング支援、中国企業の日本進出支援など、幅広い事業を展開する。中国の時事ネタやテックニュース、日系企業の中国市場での動向をウォッチし、Xや会員制の中国ビジネストレンドコミュニティで発信中。Xアカウント:@mako_63

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