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元リクルートの33歳女性経営者が語る「女性が起業する難しさ」…“下心丸出し”の先輩経営者に遭遇することも「俺がいい女にしてあげる」

退職した年に離婚も。子どもとは「2週間くらいに1回は会う」

――そのあとすぐに離婚されていますから、内田さんにとっては激動でしたね。 内田:本当にそうですね。2018年末にリクルートを退職し、2019年5月に個人事業主としてスタートし、8月に離婚しています。大好きな子どもと離れて暮らすことになり、辛かったです。 ――今もお子さんとは離れて暮らしているのでしょうか。 内田:はい、ただ2週間くらいに1回は会いに行きます。小学校高学年なのですが、ゲームに夢中であまり私に構ってくれませんが(笑)。でも変にかしこまって会う関係性ではなく、子どもにとって私が日常になっているという意味では、いい関係性だなとは感じます。 ――近年は「女性の社会進出」がキャッチコピーとして広く展開されていますが、実際、女性社長として活躍することに難しさを感じる場面はありますか? 内田:ありますね。たとえば社員など身近な人間の誰にも胸の裡を明かせない孤独さとか辛さは、経営者であれば性別に関係ないと思います。ただ、それに加えて、特に若年で起業した女性の場合、甘く見られる傾向はあると思います。

「誕生日のお祝いをしてあげる」という誘いに乗ったら…

――「甘く見られているな」と感じるエピソードがあれば教えてください。 内田:若くして起業すると、経験もなければ自信もないわけですよね。意図的か否かはさておき、結果的にそこに漬け込んでくる先輩経営者は多いと思います。たとえば、「仕事を振ってあげる」と言って、法外に安く使うなど、搾取してくるケースがあります。  あるいは、仕事がうまくいかなくて悩んでいるときに「俺が君を育ててあげる」というような文句で近寄ってくる人もいます。もちろん、顧問契約を結んだわけではありません。そのうち、プライベートなことに口出しをしてきて、「俺がいい女にしてあげる」とか(笑)。  それから、「誕生日のお祝いをしてあげる」というので食事かなと思ったら、遠方に連れて行かれて、宿も手配してあったり……もちろん、即帰宅しましたが(笑)。 ――宿の予約はなかなか下心丸出しで驚きました(笑)。 内田:本当にそうですよね。ただし、ややこしいのは、その一面だけを切り取ればその経営者はただのエロ親父なんですが、ビジネスという側面において多数の人を幸福にしている場合があるんですよね。ビジネスに精力的な人は、あらゆる方面において精力的な場合が往々にしてあるのかなと私は考えています。  もちろん、性的自己決定権は女性にもあり、ビジネスでどれほどうまくいっていてもそれを蔑ろにしていい理由にはなりません。私も愛人やコンパニオンとして見られるのは不愉快なので、お断りしました。
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「浮気を繰り返していた」父の背中を見て
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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