仕事

元リクルートの33歳女性経営者が語る「女性が起業する難しさ」…“下心丸出し”の先輩経営者に遭遇することも「俺がいい女にしてあげる」

女性経営者間で起こった怖い話

内田琴美氏

女性同士の場合でも、いろいろあるようだ…

――先ほど女性経営者の立場から先輩男性経営者からの“誘い”のいなし方を伺いました。同性の場合は比較的友好的なのでしょうか。 内田:友好的な関係を築ける同性経営者も多いです。しかし先日、こんな怖い話を聞きました。経営者同士のコミュニティーがあるのですが、とある女性経営者が入会を希望しました。しかし事務局から断られてしまったそうです。数年後、その会合のトップから直々にお声がかかり、以前の経緯を説明したところ、「マルチ商法に加担していた時期があると噂になっている」と言われたそうです。その女性経営者は身に覚えがなかったので説明を求めましたが、満足なものは得られなかったそうです。気になって調べたところ、マルチ商法の噂を流したのも、入会拒否をしたのも、その女性経営者と中学からずっと一緒で馬が合うと思っていた女性だったそうです。 ――怖すぎます。やはり経営者は、足を引きずられることも多いんですね。 内田:そうだと思います。ただ私は、今誰かの足を引きずることに腐心している人でさえ、本当はそんなことを望んでいないのではないかと思っています。誰かと自分を比較して気が滅入ることは多くの人にとって身に覚えがあることだと思います。そのときに大切なのは、相手の足を引っ張って対等になろうとするのではなく、純粋な努力で自分が上がっていくことではないでしょうか。  ただ、口で言うほど簡単ではありません。自己肯定感が低いままなのは、褒めてくれる人がいない環境だったりすることに起因するからです。私は、その人がその人のままで長所を伸ばしていける環境を提供したいと思っているんです。多くの人たちが足の引っ張り合いではなく、互いを高め合う戦いをしていけば、もっとこの世の中にいろんなサービスができていろんな人を幸福にできると本気で信じています。 =====  内田さんは不思議な人だ。フェミニンな外見に対して、だいぶさばけた性格をしていて、あらゆる局面への理解があり、建設的な方向へ解を見出そうとする必死さを隠さない。  どこまでも伸びやかで真っ直ぐで、それでいて現状を打ち破ろうとする人々への手助けを惜しまない。女性が社会で生きていくうえで必要なものはおそらく多岐にわたるが、内田さんなら、ともに模索しながらオーダーメイドのキャリア支援をしてくれる。そんな期待と安心に包まれる心地よい馬力が身体からほとばしっている。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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