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居眠りしていたのに「わかりにくい」と文句を言う…職場の“協調性のない”30代女性、行動の背景にあった“傾向”とは

家庭と仕事の両立が大変に

 Gさんは現在も事務職の契約社員ですが、小学校のPTA役員をするようになってから、家庭と仕事の両立が大変になってきたということでした。現在の派遣先は比較的ゆっくり仕事をさせてもらえて、上司もいろいろとフォローしてくれる職場のようで、今までよりも落ち着いて仕事ができているようです。  しかし、PTAでは細々とした作業が多く、期日までに各所に連絡し確認しなければならないことを複数抱えると処理しきれません。それがストレスとなって職場でミスを重ねたり、会議でもPTAのことを考えてぼんやりしたりするようになりました。  このような状態が続き、Gさんをフォローしていた上司からも注意されるようになり、ショックを受けているということでした。以前からGさんは、自分がどこか他の人と違い、やたらとミスが多いことを気にしていたようです。そして、ネットでいろいろと調べていくうちに「ADHD」にたどりつき、特に不注意優位型の特性は自分のことがそのまま書いてあると思ったそうです

大人のADHDの不注意優位型の特性

 大人のADHDの不注意優位型の特性には、特に次のようなものがあります。 ・忘れっぽい(ちょっとした用事を記憶しておくのが苦手)。 ・注意の持続が難しく、気が散りやすい(自分が気になっていることに関心が向く)。 ・ときどき、うわの空でぼんやりしてしまう。 ・1つひとつの作業がきちんと終わらない。 ・忘れ物やなくし物が多いので、捜している時間が長い。  不注意優位型の特性は、成人になっても持続することが多く、失敗ばかりの自分に嫌悪感を抱いて抑うつ状態になることもあります。Gさんは、抑うつ状態になっているような印象はありませんでしたが、きちんと診断を受けてはっきりさせたいと筆者のもとに相談に訪れたこともあり、発達障害の専門医を紹介しました。  医療機関を受診後、不注意優位型のグレーゾーンだったということですが、不注意の特性を和らげる薬(コンサータ)を処方され、それがよく効いており、受診して良かったと話していました。Gさんのように発達障害のグレーゾーンであっても、状況次第では薬が処方されます。
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ADHDの傾向があるKさんの場合
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ストレスマネジメント専門家。企業人事部や病院勤務(精神科・心療内科)などを経て、現在、株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁のメンタルヘルス対策や県庁の研修にも携わる。著書に『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある

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