更新日:2024年12月13日 10:01
仕事

パワハラで2度休職、転職で250社に応募…“生きづらい発達障害”の人が生み出した「驚きの仕事術」

働き方改革が逆効果に。第二の“底”を味わう

小鳥遊

小鳥遊さんのタスク管理術は“紙1枚”でできる

 さらにある時から会社が働き方改革で労働時間の削減に取り組んだため、残業ができなくなった。小鳥遊さんにとっては「残業で仕事の遅れをカバーできないというデメリットでしかなかったです」と語る。やはり1社目と同じく自分を追い込んでしまい、3か月休職する。 「それで第二の“底”を味わい、もはやADHDの特性を受け入れなければならないと思いました。復帰後、今抱えている仕事のタスク名(定例会議に出席する、報告書を部長へ送るなど)、タスクを達成するのに必要な手順、手順ごとのステータス(自分、相手、予定など)・着手日・締切日をエクセルに記載して管理する仕事術を約2週間で編み出しました」  半年後には、営業部に配置転換となり合わずに退職するが、これからは仕事ができるという手ごたえを感じた。

転職先で証明されたタスク管理術の効果

「バイト含め5社目の転職先では、障害者雇用で採用されました。ただ、タスク管理術のおかげで毎日、定時で帰れるようになりました。だんだんとその経験を人に伝えたくなり、2015年から副業としてタスク管理術をX(旧Twitter)やブログで発信するようになりました」  2016年からは、Xフォロワーが36万の作家・F太さん@fta7)とタスク管理イベントを開催。そこから生まれた共著書『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』を出版、現在では発行部数10万部超のベストセラーになる。  副業が楽しくなった小鳥遊さんは、2022年にフリーランスに。著書は3冊になり、就労移行支援事業所や一般の法人、大学などでの講師もするなど精力的に活動している。さらに一般のビジネスパーソンや一般企業向けにも「紙(またはエクセル)1枚でできるタスク管理術」をコンサルティングしている。 「タスク管理のやり方には、向き・不向きがあります。個人のタスク管理のコンサルティングは総勢120人くらいに行いましたが、とにかく真面目な人が多いです。だからこそ自分の仕事のクオリティを保とうとタスク管理に危機感を抱くのでしょう。ただ、タスク管理は面倒くさいと、苦手意識を持つ人が少なくありません。そんな方にタスク管理の重要性をお伝えするときに、よくコンタクトレンズに例えてお伝えしています。コンタクトレンズは洗浄や消毒などが面倒くさいですよね。だけど、コンタクトレンズを使うことで得られるリターンは大きいという意味です
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誰でもお金をかけずに生産性アップできる
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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