更新日:2024年12月13日 10:01
仕事

パワハラで2度休職、転職で250社に応募…“生きづらい発達障害”の人が生み出した「驚きの仕事術」

パワハラでふたたび離職。転職で250社に応募

発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術

小鳥遊『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』(SBクリエイティブ)

 だが、親会社との合併により、雲行きが怪しくなる。 「親会社の人たちは優秀なだけに、“できない”人を批判したり、馬鹿にしたりするところがありました。彼らなりに私に仕事を教えようとしていたのでしょうが、仕事でのやり取りが増えるにつれて、パワハラ的だと感じられるようなコミュニケーションが増えていきました」  半年間の休職の後に、休職期間満了で退職した小鳥遊さん。そこから一般雇用・障害者雇用のどちらも合わせ半年で250社もの会社を受けた。 「ADHDで口がうまいと、発達障害に見えないことがあります。障害者雇用で最終面接までいった会社では、『君はここにくるべきじゃない』と言われ落ちたこともあります。結果的に、内定が出た会社は3社。すべて一般雇用での仕事でした。一般雇用でやっていけるのかというためらいはありました。だけど、当時は30歳中盤で今の妻と結婚を考えていました。だから、早く就職したかったのです」

昭和気質な会社で馴染もうと頑張るが…

 入社したのは、東証一部上場の昭和気質な会社。配属先は、総務部門だった。 「世間からも評価され、就労環境も良好に整備された会社でしたが、入ったその日に違和感を持ちました。経営方針を毎朝、部署全員で暗唱したり、呼び名を『名前+役職』で呼んだり、全社員参加のイベントで全員一斉に社名を叫んだりするんです。そういった雰囲気が私は苦手でした。ただ、せっかく主任として採用してもらったこともあり、馴染もうと頑張ったのですが、ほどなくして入社した部下が事務処理能力が高く優秀で、いつの間にか自分を飛び越し、上司と直にやり取りするようになっていきました」  当時は小鳥遊さんが部下にそのことを問いただせるような職場環境ではなかったという。さらにつらかったのが、自分が管理するチームの進捗報告ミーティングだった。 「週1で部長に進捗報告をするのですが、その1時間は私がいかにタスクを進められていないか、部長からのダメ出しを部下の前でひたすら受ける時間で本当に苦痛でした。マルチタスクが苦手で、朝3時まで残業したこともあります」
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働き方改革が逆効果に。第二の“底”を味わう
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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