特殊清掃員が明かす「冬のお風呂で突然死」の壮絶現場。“ヒートショックのリスクが高い家”には共通点が
冬場に突然死する原因としてヒートショックがある。ヒートショックとは暖かいところから寒いところ、寒いところから熱いところに移動することによって、急激な血圧変化が起こり脳卒中や心筋梗塞を引き起こす疾患である。
2024年12月に浴室で突然死した中山美穂さん。警察は入浴中の「不慮の事故」と発表しているが、SNSではヒートショックと関連付けて、注意喚起する人も多かった。冬場になるとヒートショックでの孤独死現場が増えてくるが、主に浴室、浴槽の中での死者が多いという。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんにヒートショックの孤独死現場について話を聞いた。
ヒートショックが原因の事故による孤独死の現場は年間30件ほどある。冬場だけの事故なのにかなり多い。ヒートショック死の現場は基本的に決まっている。
「まれに脱衣所でヒートショック以外の原因で亡くなるかたもいらっしゃいますが、今までヒートショックで亡くなったと言われている現場の特徴として基本的には浴槽の中での溺死か、浴槽に近いところでの心臓発作などで亡くなっていることが多いですね。
中山美穂さんの死因がヒートショックかはわかりませんが、若い女性でもヒートショックで亡くなることはありますので注意してください」
ヒートショックになりやすい家には特徴があるという。
「ヒートショックになる原因として、暖房の効いた暖かい部屋から寒い脱衣所に移動し、さらに寒い浴室にいき、いきなり熱いお湯に入るといった行動、または逆の動きをすることが考えられます。要は血圧の急激な乱高下です。なので、急激な気温の変化が起きそうな古い家屋の現場が多いです。そういう建物は、脱衣所や風呂場の風通しがよくてとても寒いです」
一軒家ならば、浴室が離れにあり、トタンを1枚隔てて外側のような造りだと、かなり室温が冷えるため、ヒートショックの危険性があるという。
「浴室の換気のためにずっと窓を開けざるを得ないので、ヒートショックが起こりやすい環境になってしまうというのもあります。ユニットバスの場合は浴室ごと保温されているので、ヒートショックで死に至る確率は下がるのですが……。実際、事故が起きているのはユニットバスの現場ではなく、ほぼ従来型の浴槽ですね」
さらに、ヒートショックと、それ以外の死因の現場だと、特殊清掃に駆けつけた際、大きな違いがあるという。
「脳卒中や心筋梗塞などの発作の場合、歩き回ってトイレで吐血していたり、玄関先で倒れていたりするのですが、ヒートショックだと突然の発作で動き回ることができないので、部屋まで移動するといったことはありません。また、死因と関係なく、脱衣所や風呂場での死亡者数は冬場になると一気に増える傾向があります」
若い女性が浴槽で亡くなることも
“ヒートショックのリスクが高い家”に共通している特徴

(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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