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橋本環奈『おむすび』で封印されてしまった“ルックスだけじゃない”魅力「普通の女の子役」では物足りない

「ギャル魂を秘めた栄養士」では引き出しきれない魅力

ギャルメイクの橋本環奈

ギャルになった姿を披露した橋本環奈

『おむすび』は、橋本の過密なスケジュールの中から時間をなんとか捻出しのぞんだ作品であるということは明かされている。  作品中でも前半の目のクマのように見える雰囲気を心配する視聴者も多かった。求められているものはわかる。しかし、実際に疲れていたり、本来のテンションでのぞめないことが重なっていたのかもしれない。  そして、たとえば『銀魂』の神楽や『今日から俺は!!』の京子は、原作の通り顔立ちの綺麗なはずのヒロインが突如キレたりするなどといった極端なギャップ感も魅力のひとつだった。  そのギャップ感が橋本環奈のルックスと顔芸の振り幅によって魅力を何倍にも増幅させていった。  いっぽう『おむすび』のヒロイン米田結は、ギャル魂を秘めた栄養士ではあるものの、ごくごく普通の女の子ではある。  しかも朝ドラという枠の中での作品だ。ごくごく普通の女の子が急に「なめとんか、ゴラァ!」とキレたりする極端な顔芸はなかなかできないであろうこともわかる。  脚本や演出の都合もあるだろうが、結果的にへの字口や眉をひそめる、そしてニヤけるなど、極端でなく微妙な顔芸演技になってしまうことも仕方ないところだろう。  演技プランの参考になるような原作ナシのオリジナル作品でもある。何かあったらキレまくるギャルという振り切ったキャラ設定にするなどすればあるいはという気もするが、それは勝手な妄想だ。  ギャルとしてパラパラを踊るハシカン、育児をがんばるママとしてのハシカンなどなど、かわいい橋本環奈、今まで見たことのない橋本環奈という部分は見られているものの、見せたかったコメディエンヌとしての橋本環奈の魅力は現時点まで引き出せないままきてしまった気がする(本筋から少しズレるが、お酒好きとしてよく知られるだけあってか、作中でビールや焼酎を飲む姿はとてもナチュラルで楽しそうで、魅力的に映る気がする)。

「さすがハシカン!」といった“華”を感じられるか

 もっとも、冒頭に記したとおり、橋本環奈が持つ、そこにいれば「絵」になるような存在感、本来の「華」の部分は健在のはずだ。  それは昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』でも強く感じられ、豪華な出場歌手たちを前に華やかな衣装に身を包み、進行する姿は連日サゲられている女優と同一人物に見えない見事な姿だった。 『おむすび』の結は、脚本家根本氏が期待を寄せた「コメディエンヌぶり」を発揮できぬまま3月末まで進んでしまうのか。または、終盤に「さすがハシカン!」といった“華”を感じさせてくれるのか。  それともギャルと栄養士というキャラのもと、全く新しい橋本環奈がこの先待っているかもしれない。  とかいうものの、やっぱりあのハシカンを、朝ドラの枠で見たい!(見たかった!)それが本音ではある。 『おむすび』の放送は、残りまだ3分の1も残されている。この先どんな橋本環奈が見られるか、見守っていきたい。 <文・太田サトル>
ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。
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