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2月1日から“1400円”に値上げ…QBハウスは“1000円カット市場”で今や割高。勝負を左右する「価格以外の要素」

店舗数は減少も、業績は堅調に推移

 店舗数が減少したキュービーネットですが、業績は堅調に推移していました。コロナ禍で集客に苦戦した2021年6月期以降は3期連続の増収。2025年6月期も3.9%の増収を計画しています。  業績を支えていたのが値上げ。2022年3月にシニア価格1100円を終了。2023年4月に1200円から1350円に改定していました。今年2月1日には1400円なります。今回の値上げは今期の増収計画に大きく寄与するでしょう。  2024年6月期の退職率は7.3%(前期は10.6%)に改善しました。正社員数は1696人から1810人に増加しています。価格改定で店舗の収益性は上がり、人材不足は解消されつつあるのです。

メインターゲット「中高年の男性」をどう掴むか

 キュービーネットは、店舗数の拡大へとアクセルを踏み始めました。今期の国内店舗は563から585へと増加する見込み。22店舗の純増です。  ただし、度重なる値上げでQBハウスの価格競争力は薄れています。競合のサンキューカットは1300円(フランチャイズ店もあるため、一部店舗は価格が異なります)。カットファクトリーも店舗によって価格にはバラつきがあるものの、1200円から1300円が中心。クイックカットBBも同様です。1000円カットと呼ばれる市場において、今やQBハウスは割高になりました。  低価格ヘアカットは、中高年の男性をメインターゲットにしています。この層の多くは、自宅から近い場所で、安く、分かりやすい料金でサービスを受けることを特に重視しているためです。  QBハウスは今期から出店攻勢を強めようとしていますが、それによって競合店とエリア被りが生じた場合、メインターゲットは安い店に流れる可能性が高いことを示唆しています。
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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