更新日:2025年03月24日 11:08
ライフ

「人を選ぶ宿なので注意」というGoogle口コミがある旅館を直撃。オーナーと話してわかった「愛されている理由」

 廃墟、巨大工場、珍スポット、戦争遺跡、赤線跡などこれまで旅行ガイドが見向きもしなかったようなリアル異界を積極的に取り上げる日本で唯一の異空間旅行マガジン『ワンダーJAPON』(前身は『ワンダーJAPAN』)。当連載は、編集長である私、関口 勇がこれまで誌面で取り上げたなかでも、「特にインパクトが強かったスポット」をピックアップしたうえ、順次紹介していくものだ。
天然水晶洞(湯沼鉱泉旅館)

天然水晶洞&湯沼鉱泉旅館の本館入口部分。公道沿いだが、看板に気づかないと通り過ぎてしまう

Googleマップのレビューは賛否両論だが…

 今回は都心から近くて遠い、長野県川上村にある「天然水晶洞(湯沼鉱泉旅館)」。川上村は直線で約100kmと都心から最も近い長野県。埼玉県とも接している。だが、間に標高2000m超の山々が連なる秩父山系が立ちはだかっているため、かなり大回りしないと近づけない。だからなのか、珍スポット好き界隈ではあまり知られていないようだ。  長野・新潟取材用にGoogleマップを眺めていたら、ロマンチックな名前を発見。それがここだった。写真や口コミは必ず参考にしているのでこちらもチェック。ん? なんだかだいぶ「香ばしい」ところのよう。「猫アレルギーの方は注意 入口の建物が猫くさい」「人を選ぶ宿なので注意」「思っていた10倍は猫臭い」「猫アレルギーでなく、鉱物好き、猫好きなら最高の宿」「ここは一般の方には向かないかもしれません」などなど。  水晶がキラキラ輝くロマンチックなものをイメージしたのだが、どうもそれは違うようだ。賛否両論というか、猫の臭いがすごく、部屋は汚いと「否」が多め? でも鉱物好き、猫好きには天国で、オーナーや女性従業員の方はとてもいい人らしく、31件の口コミで総合評価は★3.9とけっして悪くない。

旅館に泊まるのはほぼ「鉱物マニア」

天然水晶洞(湯沼鉱泉旅館)

本館の受け付け部分。ガラスケース内には鉱石も置かれているが、雑然としていた

 天然水晶洞というのは私設の鉱物博物館(入館料500円)のことらしい。オーナーは甲武信鉱山(梓鉱山・旅館からは南東へ約6km)の採掘権をお持ちで、鉱物マニアはここで入山料1000円(宿泊者は無料)を払い鉱物の採集を行うという。旅館に泊まるのはほぼ鉱物マニアだけらしい(猫好きもいる?)。  現地に到着してビックリ。かろうじて看板があるからそれと判別できたが、雑草が屋根に密生し、平屋の建物が森と完全に同化していた。この部分が建物の入口のようだ。自分が猫を飼っているせいか、それとも鼻が悪いせいか(けっこう詰まりがち)特に臭いは気にならない。でも入口(ロビーとは言い難い荒れよう)付近はだいぶ散らかっていて、なるほど宿泊にはかなり勇気が必要そうだ。
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鉄製の階段を降りていくと、広大な空間が
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『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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