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オーバーツーリズムに悩む北海道美瑛町、観光名所“シラカバ並木”をすべて伐採。「農家の私有地」に侵入する旅行者も

道いっぱいに広がった観光客が車の通行の妨げに

マイルドセブンの丘

マイルドセブンの丘

 セブンスターの木以外にも1978年にタバコCMの舞台となった『マイルドセブンの丘』もあり、例によって外国人観光客たちが写真を撮りまくっていたがマナーは守っているようだ。しかし、気になったのは次に訪れた『クリスマスツリーの木』だ。  ここには駐車場のスペースが確保できず、以前から観光客の路上駐車が問題になっていると聞いていたからだ。ところが、1月30日~2月21日の期間限定で駐車規制を実施。筆者が訪れたのはこの時期だったこともあり、規制前のような雑然とした状況ではなかった。  それでも旅行者は少し離れた場所にある道路から眺めるのだが、道いっぱいに人が広がっており、まるで歩行者天国のようだ。でも、ここは自動車との共用の道路。
ビュースポット化した『クリスマスツリーの木』前の道路

ビュースポット化した『クリスマスツリーの木』前の道路

 車はたまにしか通らないが超ノロノロ運転でしか進めず、近付いているのに平然と記念撮影に興じる者も。その中には日本人もいて、マナーを守らないのは必ずしも外国人ばかりではないようだ。  そして、最後は距離的にもっとも離れた場所にある『青い池』とその先の白金温泉にある『白ひげの滝』へ。特に日没後の青い池はライトアップされており、幻想的な雰囲気だ。  この時間帯は人気なのか駐車場には外国人向けのツアーバスが何台も停まっていたが騒ぐ者はおらず、みんな静かに池を眺めている。
青い池をスマホやカメラを向ける観光客

青い池にスマホやカメラを向ける観光客。その多くが外国人だ

一定の秩序は保たれていた

 結局、この日筆者が目撃した立入侵入禁止エリアへの侵入は1件だけ。車の通行の妨げになっていた場所も一部あったが、あくまで交通量の少ないエリア。ゴミのポイ捨ても見かけず、一定の秩序は保たれているような気がする。  ほかの観光地とは異なり、美瑛では農家の敷地内に生えている木が観光名所になっている地域。ルールを設けても破る者がいるので警備や監視を強化せざるを得ず、並行して啓蒙活動に力を入れるのは大変かもしれない。  町が中心となって苦労しながらもそこにしっかりと取り組んでいる姿は、オーバーツーリズムの問題を抱える各自治体にとっても参考になる部分は大きいはずだ。 <TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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