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今年3月で廃止になる北海道の駅5つを巡る。「日本最東端の駅」が姿を消すことに

町公認のゴーストタウンにあった駅

雄信内駅

雄信内駅

 南幌延駅の隣にある雄信内駅(幌延町)も14日で営業終了を迎える。「おのっぷない」と読む難読駅で、「川尻に原野にある川」を意味するアイヌ語に由来する。  抜海駅より1年遅れの1925年開業で、駅舎は同じ木造平屋建て。ただし、ひび割れた外壁の風合いもあって同駅のほうが年季の入った建物に見える。駅構内には昨年11月、開業99周年を記念して行われた白寿祭』の写真を展示。周辺住民0人が嘘のように大勢の人が訪れていたようだ。  だが、雄信内駅のある雄興地区の最盛期の人口は200人以上。当時は小学校もあったそうで、ほかにも廃墟化している民家や商店、農業倉庫なども確認できた。  町のホームページに《今はゴーストタウンとなっています》と紹介されていたのは知っていたが、誇張ではなく紛れもない事実。
ゴーストタウン化した雄信内駅周辺の廃墟

ゴーストタウン化した雄信内駅周辺の廃墟

 ちなみに雄信内駅と南幌延駅の維持管理費を負担していたのは、地元の幌延町。でも、これとは別に雄信内駅では駅舎の修繕、南幌延駅では劣化した板張りホームの改修が必要となり、その額は合わせて750万円。人口約2000人の町にとってはあまりに大きい負担のため、やむを得ないだろう。  できれば今年7月に迎えるはずだった開業100年を祝ってあげたかったが……。

駅周辺地域の人口は多いのに駅利用者が皆無

東滝川駅

東滝川駅

 廃止になる駅は、必ずしも秘境駅ばかりではない。JR根室本線の起点駅・滝川駅の次に位置する東滝川駅(滝川市)がまさにそのケースだ。  市の1月末時点の『町別世帯数及び人口』を調べると、東滝川地区の住民数は約827人。駅周辺は住宅街で、少し歩くとコンビニもあった。ところが、それほどの規模なのにJR北海道が公表する『駅別乗車人員』を見ると、19~23年の5年間の平均は1日1.8人しかいない。
住宅が連なっている東滝川駅前

住宅が連なっている東滝川駅前

 車社会であることが大きいが、理由はそれだけではない。バスが滝川市内を通って駅に向かうため、車を運転しない高齢者や通学の高校生にはこちらのほうが便利なのだ。しかも、運賃はバスが240円でJRより50円も安く、その辺も影響しているのだろう。  それでも駅には跨線橋もあり、利用客が少ない割には立派だ。さらに筆者が訪れた日は、除雪用のラッセル車が駅構内に待機中。駅舎の屋根に大量の雪が積もっており、多数の氷柱が垂れ下がっている。今回訪れたどの駅よりも雪が多く、豪雪地帯の駅という雰囲気が印象的だった。
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鉄道ファン以外にも有名だった“日本最東端の駅”も廃止に
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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