西友を買収したスーパー「トライアル」に、スーパーの専門家が行ってみて気づいたこと「西友の“弱点”を補えるかも」
2025年早々から世間をザワつかせた西友買収問題。ついに決着がつき、3月5日にディスカウントストア大手のトライアルホールディングス(HD)が西友の完全子会社化を発表しました。イオンやドンキが有力と報道されていたこともあり、トライアルという名前を聞いて驚いた人は少なくないはずです。
トライアルHDは、福岡県福岡市に本社を置く九州の企業。昨年3月に東証グロース市場へ新規上場したばかり。そんな新興勢力が老舗スーパーを傘下に収める時代になったことには、なかなか感慨深いものがあります。
小売店としてのトライアルは、福岡を中心に全国各地で300店舗以上を展開。4種(スーパーセンター、メガ、スマート、トライアルGO)に分かれていますが、どの業態であれ今後の戦略として共通しているのは、「食(スーパーマーケット)」の強化。
今の時代に合ったスーパーとしての力を研鑽するためにも、関東圏や駅近エリアに店舗を多く持つ西友の買収は賢明だったのかもしれません。
ただ、そのような経済視点、経営戦略の側面で解説・考察する記事はたくさん出ていますから、ここではほどほどにしたいところ。やっぱり大事なのは、“自分たちの生活にどう関係してくるか?”という点ではないでしょうか。そこでスーパーマーケット研究家の私は考えました。
もっと純粋にわかりやすく、「トライアルってどんなスーパーなの?」「何がオススメなの?」という消費者目線での情報をお伝えしたいと思ったのです。
トライアルの沿革を見るとわかるのは、1974年に創業し、リサイクルショップからスタートしていること。そしてその後小売り向けのPOS(販売時点情報管理)システムの開発や家電量販店を運営しながら、ディスカウントストアの運営事業をスタートした後、スーパーマーケット事業にも本格参入。ITやAIに強みを持たせることで、店舗運営の省力化など小売業界に変革をもたらす「リテールテック」に強みを持つ企業として急成長を遂げています。
店舗に行ってみると印象的なのは、プリペイドカードとレジカートを組み合わせたお得な買い物方法。レジカートとは、トライアル全店舗の約8割の店舗に導入されているスキップカートのことで、買いたい商品をスキャンして、現金チャージしたプリペイドカードで支払うことで、レジに並ぶことなくお得に買い物ができるという仕組みになっているのです。ちなみにクレジットカードは使用不可です。

2025年3月5日、トライアルホールディングス(HD)が西友の買収を発表。TRIAL(トライアル)とは一体どんなスーパーなのか?
全国各地で300店舗以上を展開するトライアル
「リテールテック」に強みを持つ企業として急成長

トライアルはリテールテックに強みを持っているが、店舗に行くと意外とほっこりするようなPOPに遭遇する。

レジカートとプリパを組み合わせれば、レジに並ぶこともなく、特別なクーポンが使用できるなどお得な買い物が可能になる。
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。
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