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ニトリの「家電」と「アパレル」が好調。無印良品のような存在になりつつあるが、“本家の無印”とは顧客が被らない理由

良品計画が家電開発を本格化した理由は?

 2014年にキッチン家電の強化を図ったのが無印良品。世界的なプロダクトデザイナーの深澤直人氏を起用し、冷蔵庫やオープンレンジ、炊飯器などをラインナップに加えたのです。  無印良品のインテリアはシンプルなデザインで、組み合わせによる調和がとりやすい一方、当時の白物家電のテイストが馴染まないという問題がありました。また、家電の過当競争が進んでおり、機能性を高め続けた結果として複雑かつ過剰品質になってもいました。シンプルなライフスタイルを目指す無印良品のブランドと合わなくなっていたのです。  良品計画が家電の開発に乗り出したのも必然でした。生み出された製品のデザインと機能はシンプルで無駄が削ぎ落されており、ライフスタイルの提案をする無印良品の象徴的な商品だったとも言えます。そして家電の強化は、雑貨店というイメージが強かった無印良品を、総合生活ブランドに押し上げることに大きく寄与しました。  無印良品はDCブランドが大流行したバブル期に誕生しています。ブランドのラベルを貼れば売れる、という行き過ぎたブランド信仰へのアンチテーゼとして「ブランドがないブランド」を展開しました。そのブランド哲学が、シンプルなライフスタイルを求める今の時代にフィットしたと言われています。  ニトリは無印良品の市場に真正面から参入していますが、ブランドに大きな違いが生じているため、顧客の食い合いは起こりづらいでしょう。  ニトリは“安さ”が半ばブランド化しています。インフレ下において消費者の支持を集めやすいのは間違いなく、総合生活ブランドとしての認知を広げる土壌は整っているように見えます。家電やアパレルへと事業領域拡大に注力したタイミングも絶妙で、先見性の高さが際立っています。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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