ニュース

ニトリの「家電」と「アパレル」が好調。無印良品のような存在になりつつあるが、“本家の無印”とは顧客が被らない理由

「ダウンパンツ」は「ヒートテック」に並ぶヒット商品になるか?

 ニトリはアパレルも強化中。女性をメインターゲットとするアパレルショップ「N+」の店舗数は、2024年12月31日時点で47。今期は9店舗出店しています。  ヒット商品の一つが「ダウンパンツ」。2019年から販売しているシリーズで、すっきりしたシルエットかつ機能性が高いことが特徴。散歩やスポーツ観戦、ゴルフ、旅行などシーンを選ばず、暖かく過ごせる商品です。累計販売本数は6.5万本を突破していますが、人気の背景の一つに電気代を節約するために家の中でも暖かく過ごしたいという需要もあったでしょう。  ファッショントレンドを追わないN+のようなブランドの場合、息の長いヒット商品を生み出し、リピーター獲得のフックを作ることで店舗拡大の余地が生まれます。ユニクロのヒートテックがそうでした。機能性が高いという点でこの2つは共通しています。  ニトリは2021年2月期第2四半期の決算説明会にて、N+の店舗数を200まで拡大する計画を語っています。家具の製造販売というかつての姿は薄れつつあるのです。

家庭向けの家具は下り坂だからこそ…

 実は日本の家具市場は停滞しています。  矢野経済研究所によると、2023年の家具の市場規模は前年の横ばいとなる1兆1330億円ですが、家庭用に限ると3.7%減の6830億円。2024年も1.3%減少すると予想しています(「家庭用・オフィス用家具市場に関する調査を実施(2023年)」)。  家庭用の家具は価格の高騰で買い控えも進んでいます。総務省の消費者物価指数によると、2020年基準(基準値を100とした場合)の2025年1月の家具の消費者物価指数は119.4でした。  家具のサブスクリプションサービスを提供するクラスは、家具に関する消費者調査を実施しており、「ここ1年、家具・家電の購入を見送りましたか?」との質問に対して、「はい」と回答したのは男性が5割、女性は4割に及んでいます(「1,000人への実態調査で見る、春の新生活の家具・家電事情2025」)。理由は、価格が高い、買う予算がないがそれぞれ3割を超えて圧倒的。インフレによって市場が更に冷え込むことも予想されます。  ニトリは2032年に3,000店舗3兆円という大きな目標を掲げています。停滞感が鮮明になった家具に固執するわけにはいかず、事業領域の拡大が必要なのです。
次のページ
良品計画が家電開発を本格化した理由は?
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】