仕事

新卒1日目の昼食後に姿を消した新人女性。後日、手紙が届いて「お世話になりました」の一言に仰天

「自分には向いていない」オリエン後に姿を消した新人看護師

病院内から外を見る女性医師と女性看護師 もうひとつのエピソードは、数年前の春だ。病院には看護学校が隣接しており、そこから推薦された看護師のYさん(仮名・22歳・女性)が入職してきた。  配属は、長期で治療が必要な患者が入院している慢性期病棟。Yさんも面接時には「慢性期の患者さんとゆっくり関わりたいです」と語っていた。  彼女の希望通りに配属されたはずだが……。  初日の朝、全体のオリエンテーションに参加していたYさんは笑顔で元気そうだった。しかし、昼食後の集合時間になっても姿が見えない。携帯電話にも出ず、人事担当者も困惑していた。そして翌朝、病院に一通の封書が届いた。そこには一言、 「自分には向いていないと感じました。お世話になりました」。  たった1日で、Yさんは姿を消してしまったのだ。周囲は驚きを隠せなかった。

「心の準備が整わないまま社会に出ること」のリスク

 後日、看護学校に連絡を取ると、実は在学中にも「臨地実習のたびに体調を崩していた」という事実が明らかになった。社会に出るプレッシャーや、働き始めるという現実に、彼女は耐えきれなかったのだろう。 「事前の面接ではわからなかった繊細さや不安の影。採用側としても、より踏み込んだメンタルヘルスチェックや個別の適性評価が必要だと痛感しました」  すぐに辞めてしまう理由は一様ではない。しかし、これらの経験を通じて田中さんは、「心の準備が整わないまま社会に出ること」のリスクを強く感じたという。  学校を卒業し、いざ社会に出てから感じるギャップをどのように埋めていくのか。現場に残された課題といえよう。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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